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会議体メンバーに期待する役割・機能

先日、ある企業様でプロジェクトミーティングに参加する機会がありました。同会議体は、役職者の中から経営者が任命したメンバーで構成され、定期的にミーティングを行っています。私も参加し議論に加わることがあります。あるテーマについて集中的に検討して方針を策定し、経営者の必要な承認を得たうえでの実行を統括する、特命チームです。

プロジェクトメンバーは毎回のミーティングに対して全員真摯に参加し、意味のある意見交換を行っていますが、一部のメンバー及び私としては違和感を持っていることがありました。それは、「同会議体における各人の期待役割について、経営側が期待することと各人が認識していることの間に、ズレがあるのではないか」ということです。

そこで、各人が本会議体で何を自身の期待役割・機能として捉えているかについて、2軸のマトリクスで問いかけてみました。

縦軸:「自主的/主体的」、横軸:「従業員の視点/従業員と経営のハイブリッドの視点/経営の視点」のかけ合わせによる計5つのゾーン(1つは後述の理由により対象外)のうち、どこに当てはまると思うかについて問いかけてみたわけです。

①自主的×従業員の視点
②自主的×従業員と経営のハイブリッドの視点
③主体的×従業員の視点
④主体的×従業員と経営のハイブリッドの視点
⑤主体的×経営の視点

ここで言う「自主的」と「主体的」については、辞書などによる言葉の定義も手がかりにしながら、次の通りで考えています。

・主体的は自主的の上位概念
・自主的は、自分がやるべきとされていることを能動的にやること
・主体的は、自分がやるべきことが何かを自ら能動的に考えてやること

より細かくは、次の通りです。

<0:非自立、1:自立(≒自主的)、1~4:自律(≒主体的)>
0.やるべきことを理解していない、あるいは行動していない
1.やるべきことを理解し、上司や他者からの指示がなくても自ら行動できる
2.やるべきことの目的や意味を自ら考え、やるべきことに対して改善ができたり、必要に応じてやるべきこと自体を見直したりできる
3.やるべきこと・やりたいことが何かを自ら考え、行動できる
4.やるべきこと・やりたいことが何かを自ら考えたり、やるべきことを見直したりするための判断基準となる行動規範を、自分の中に持てている

正確には、「自主的ですらない」という段階ゼロの人材もいるはずですが、その段階の人はこのような特命のプロジェクトメンバーに任命されないはずなので、除いています。また、経営の視点でものを考えるべき人材が、「自分がやるべきとされていることが何かを言ってもらわないと動けない」では成り立ちませんので、自主的×経営の視点というパターンは想定していません。

問いかけへの回答結果は、メンバーの認識としては、②④⑤で分かれました。(それぞれに該当する人数にばらつきはありましたが)。

経営側としては、「メンバーの中でも上級管理職に当たる者は「⑤主体的×経営の視点」、その他のメンバーである中間管理職は「④主体的×従業員と経営のハイブリッドの視点」で、各回のミーティングのテーマに対して意見の提案や上申をしてほしい」という考えでいました。

一方で、メンバーの側は、⑤を期待されているメンバーが④である、つまりは従業員代表の視点に寄りかかっているような意見に終始する、④を期待されているメンバーが②である、つまりは問いを投げかけられれば意見を表明するが自らが問いを立てるという意識がない、などが散見されました。

決してメンバーの側が怠慢なわけではありません。他の業務の手を止めて会議の招集に応じ、真摯に参加しています。本人たちも期待されている役割を遂行しているという認識でいます。

問題は、双方の認識している各メンバーの期待役割・機能が合っていないことです。よって、経営側はメンバーに対して「場を用意しているのだから、もっと議論を主導してほしい」と不満を持つかもしれない。メンバーの側は逆に、「もっと経営側から具体的な問いを投げかけてくれれば、意見を出しやすい」と不満を持つかもしれません。

よって、認識ギャップを埋めて、より生産的なミーティングになることを目指して、メンバーに対する期待役割・機能の確認、すり合わせを行ったわけです。その結果「ああ、そのようなズレがあったのですか」「自ら議題をつくってもいいのですね」といった声も聞かれました。実際にミーティングの流れや内容が変わっていくかどうかは、今後の確認事項になります。

このような、会議体メンバーに対する期待役割・機能の認識のズレは、どの組織でも起こりがちです。

「会議での姿勢が消極的だ」という烙印を押す前に、それぞれの参加者に対する期待役割・機能の認識を確認してみてもよいかもしれません。

<まとめ>
何を期待されてメンバーとして召集されているのか、認識ギャップが生じている可能性がある。

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