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筋トレに向き合うことの意義

1月13日の日経新聞で、「80歳も筋トレ 生涯現役貫く 人生100年時代 筋肉増やす「貯筋」で備え」というタイトルの記事が掲載されました。私自身は、運動や筋肉を鍛えるのが良いことだというのは何の異論もなく同意していますが、正直なところその良さについてあまり理解が進んでおらず、あまり実行できていません。

同記事の内容は、「生涯現役を貫くには体が資本。健康的に日常生活を送ることができる健康寿命を延ばすためにも筋肉量の維持が欠かせない」として、その意義を明確に感じさせてくれます。

同記事の一部を抜粋してみます。

2024年の暮れ、東京都板橋区の雑居ビル内にある広さ16平方メートルほどのパーソナルジムで、筋トレにいそしむ女性の姿があった。「性差医療」の権威として現場の第一線に立つ内科医、天野恵子さん(82)だ。

ピンと伸びた背筋、張りのある肌。天野さんは週3回のジム通いを欠かさない。この日の主なメニューは補助器具を使ったスクワット。約90分間、下半身をみっちり鍛えた。「このくらい、へっちゃらよ」

運動習慣があったわけではない。75歳の頃に体重が3カ月で6キロ落ち、加齢による痩せ細りとみるや、ジムに入会し専属トレーナーの指導を受けた。筋トレ効果で体重が戻り、「生きがい」という医師の仕事を続けている。

筋トレに励む人は老若男女を問わず増加傾向にある。笹川スポーツ財団の22年調査によると、年1回以上筋トレをする人は1640万人(推計)と過去20年で倍増。天野さんのようなライフスタイルは長寿社会を生き抜くヒントになる。

24年12月に国が発表した22年の健康寿命は男性が72.57歳、女性が75.45歳だった。三菱総合研究所が19年に発表した「未来社会構想2050」は、技術革新によって50年に健康寿命が80歳まで延びる可能性があると予測する。

生産年齢人口(15~64歳)の減少が続くなか、働くシニア層は貴重な存在となる。70歳以上まで働ける企業の割合は23年に40%を超え、13年比で20ポイント超も高まった。

シニアの雇用拡大は、企業側にとって課題も多い。シニア従業員の疲労やけがが増えれば、生産性の低下や人手不足を招くだけでなく、医療費の負担増にもつながりかねないからだ。

従業員の健康を企業の財産と捉える「健康経営」の重要性は高まるばかりだ。筋トレや食生活の改善を支援するほか、採用の呼び水とする企業も目立つ。

クボタは24年10月、福利厚生の一環としてグローバル技術研究所(堺市)に、RIZAPグループのコンビニエンスジム「チョコザップ」を開設した。「年齢を重ねても健康に働ける環境をつくりたい」(松林晃平・研究勤労部チーム長)

「筋肉中心の生活を実現させる」。運送会社の名正運輸(愛知県飛島村)は「筋トレ人材」を対象にジム会費やサプリメント代を補助する制度を約3年前に導入した。運転手不足のなか、筋トレと仕事を両立したい人材を獲得する狙いだ。応募者はこれまで約100人に達した。

筋トレが切り開く未来に希望を見いだしているのは国も同じだ。厚労省は24年、健康づくりのための運動に関する指針を約10年ぶりに改訂。高齢者を含む成人に運動目標を示し、週2~3日の筋トレを推奨した。

「キンニク先生」こと森谷敏夫京大名誉教授(スポーツ医療)によると、運動習慣がない人の筋力は加齢とともに年1%ずつ衰え、70歳になると30歳時点から40%ダウンするという。

筋肉は老化防止に関係する生理活性物質を分泌するため、年齢を問わず筋トレを続けることが「健康長寿に直結し医療経済効果も見込める」と断言する。

人生100年時代を見据えると貯金だけでは心もとない。ダンベルという「重荷」を負って得られる「健康貯筋」が国を救う。

私がこの領域へのアンテナが低いため疎かったのですが、気づかない間に筋トレに対する世間の意識と取り組みは高まっていた、ということを感じます。各社が健康経営のテーマを掲げる中で、事業所の中にチョコザップをつくる会社まで現れているというのを初めて知りました。

筋トレ採用をしている名正運輸の事例は、以前確かテレビ番組で見た記憶があるのですが、同記事で思い出しました。張り切って仕事と筋トレを充実させている社員の姿が印象的でした。

同記事をきっかけに、しばらく前から聞いていた知人の事例2つを思い出しました。

1人は、2025年の目標として真っ先に頭に浮かんだのがマラソンだったという経営者。仕事と直接関係ない目標のように感じてしまいますが、なぜマラソンを目標として真っ先に掲げたのかの理由について、同知人は次のように言います。

マラソンは、ほぼ100%自分でコントロール可能な目標である。自己完結できる。正しい努力(質量)を行えば、変数の多くを自分でコントロールできるため、過去の自分を計画的に超えることができる。チャレンジングな自己ベストタイムを目標として設定したが、腹決めをして、走る量とスピードを増やせば、必ず達成はできると考える。

「自分が前に進んでいる」という感覚を持てることは、気持ちがよい。ドーパミン放出による成長実感は気持ちいい。過去の自分を超えることを達成するということは、自分の事業にも通じるし、マラソンで人生が変わることもある。

実に深い示唆だというのを、改めて認識しました。

同日付の日経新聞別記事「体鍛える経営者、部下の手本に ランサーズ社長 秋好陽介氏」からも抜粋してみます。

10年ほど前、クラウドソーシング事業の業績が伸びず、社内の空気も停滞していた。ある経営者仲間に勧められ藁(わら)にもすがる思いで始めたのが筋トレだった。不確実性の高い経営とは対照的に、意志さえあれば確実に成長させられる筋肉に魅せられた。

朝の筋トレ時間を確保するために一日のスケジュールを組み立て、栄養バランスにも気をつけるようになった。どうすればぜい肉をそぎ落とし、筋肉を育てられるか。課題を定め、着実にクリアしていくことで20%あった体脂肪率は1桁台に、腹筋は8つに割れた。

筋肉に強い負荷をかけている時、雑念は消え「今」に集中できる。この瞑想(めいそう)に似たマインドセットのおかげで、経営面でも意思決定のスピードと質が高まった。

今、事業にとって何が必要か。ポジティブ思考が身につき、地獄のように感じた停滞期を乗り越えられた。

経営者は社員にとって最も身近なロールモデルであるべきだ。例えば夜の会食で2~3軒飲み歩き、おなかの出た社長と、日ごろから節制を心がけ健康的な社長。どちらに付いていきたいと考えるだろうか。

日本の全ビジネスパーソンが筋トレ中心の生活を送るようになれば、国内総生産(GDP)を2割上げるのも夢ではないと考えている。

人口減社会という逆境下でも、筋肉という「資産」がある限り未来は明るい。

「2~3軒飲み歩き、おなかの出た社長と、日ごろから節制を心がけ健康的な社長。どちらに付いていきたいと考えるだろうか」 ごもっともです。私は数年前、減量に取り組んで体重を16キロ減らし今まで維持しているため、おなかは出ていませんが、筋肉は鍛えてないため腹筋は割れていません。

意志さえあれば確実に成果につなげられることに取り組む習慣が、不確実な変数が混ざってくる経営などに取り組むうえでの軸になる。示唆的です。

もう1人の知人の事例です。大きな怪我を負いながらも格闘技を続けている経営者がいます。

格闘技の最中にけっこうな怪我をしたそうなのですが、処置をしたうえでその後も続けているという話を聞きました。同知人は次のように言います。

身体を鍛えるという目的もあるが、格闘技の練習や試合をしているときは、他のことを考える余裕がなくなるのがいい。他の事を考えていたら、目の前の相手にやられてしまうからだ。自ずと格闘技だけに集中することになる。

頭を真っ白にして「今、ここ、自分」に集中できる時間が脳のリフレッシュになるし、仕事モードの時間でも「今、ここ、自分」で自社の事業のことを考える集中力が高まる。

格闘技が、経営者にとってそこまでして続けるべきものなのか、正直なところ理由が今ひとつ腑に落ちていなかったのですが、同記事と重ね合わせて理解ができた気がします。

冒頭の記事によると、「年1回以上筋トレをする人は1640万人(推計)と過去20年で倍増」とあります。

年1回以上の筋トレというのが、どの程度の取り組みからを指すのか不明ではありますが、1640万人ということは、増えてはいるものの、私同様に何も取り組んでいない人のほうが圧倒的に多数派ということになります。私自身、30歳のころに比べると疲れやすくなったという自覚があります。来る将来の70歳になったときに、30歳時点から筋力が40%ダウンするというのは、身構えてしまう話です。

私を含めた筋トレ未実施人口が実施人口に変われば、国全体の生産性向上と医療費抑制が大きく進展するかもしれないと思います。

私にとって極めて腰の重い領域ですが、一念発起して筋トレの行動目標を設定し、今年を筋トレ習慣化する元年にすることを決めました。

<まとめ>
今年を筋トレ習慣化元年にする。

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