連休中に家族で旅行をしてきました。行先のひとつが、北海道旭川市の旭山動物園でした。以前から聞いたことがあり、一度行ってみたいと思っていたものの機会をつくれずにいました。今回ようやく行くことができ、いろいろな気づきがありました。
改めて、旭山動物園がどのような経過をたどったのか、All Aboutの記事「旭山動物園はなぜ成功したのか? 「行動展示」への動物園改革」から、一部抜粋してみます。
エキノコックスの発生は偶発的な要因だったのかもしれませんが、それ以外の出来事には、一貫して次の要因が指摘できるのではないかと考えます。
・何を園の提供価値とするのか、定まっていない
・提供価値を高めるための投資を行っていない
コロナ禍前の2019年度で約140万人とピークからは減っているものの、人口約33万人の旭川市です。上野動物園は来場者数400万人を超えますが、東京都は人口約1400万人の都市です。旭山動物園は旭川市外から多くの来場者をひきつけているのが特徴と言えそうです。加えて、旭川市が冬季には来場が見込みにくい気候という要素も踏まえると、140万人は依然としてたいへんな記録だと言えます。
今回初めて旭山動物園に行きましたが、「行動展示」の醍醐味が随所に感じられました。ガイドを聞きながら、オランウータンやアザラシ、ペンギンなどを見ました。オランウータンのところでは、ガイドの方の解説を聞きつつ、えさを食べながら行ったり来たりする様子を20分間ほど見ました。「こんなにオランウータンのことをじっくり考えながら間近に見たことが、これまでの人生であっただろうか」という感じでした。
何より、ガイドの方の熱心な説明に聞き入りました。私なりの解釈ですが、「動物の生態に親しんでほしい。地球環境問題が動物に及ぼしている影響を知ってほしい」という想いが一貫して感じられました。
上記で挙げた要因について、97年以降は次のように変わってきたと言えるのかもしれません。
・行動展示により「動物のありのままの姿を見せる」ことを、園の提供価値とする
・遊園地のアトラクションなどではなく、行動展示につながる設備やイベント、ガイドの訓練などに集中投資する
加えて、2点考えてみたいと思います。ひとつは、「内部に今ある経営資源を中心に考える」という視点です。
「客寄せパンダ」という言葉がありますが、一般的な動物園で人気の高いパンダやコアラなどのスター的な存在となる動物が、旭山動物園にはいません。(私の認識不足かもしれませんが)ここにしかいないという動物は見当たらず、どこの動物園にもいそうな動物ばかりでしたが、その動物たちの魅力を最大限引き出そうとする見せ方やガイドの方の語りかけによる体験は、ここにしかないものと感じられました。
制約がある中でも自分たちがもっていて使える経営資源やノウハウを活用し、強みにまで高める。そのような取り組みが表れているのと考えます。
もうひとつは、目指すビジョンの明確化と共鳴です。
同記事では次のように紹介しています。
やはり、評判を呼び躍進する商品・サービスは、偶然ではなくそうなる理由がある。そのことを、現地で見ることで認識した次第です。
市による運営や動物園という形態で、事業領域や前提がそのままは自社に当てはまらない点も多いと思いますが、そのうえで、多くの企業にとって参考にするべきことが多い取り組みだと思います。
<まとめ>
自組織の提供価値を明確にし、そこに集中投資する。