普段とらない行動をとってみる
先日、ある駆け出しの経営者様とお話する機会がありました。そのときにお聞きした、いつもとは違ったお金の使い方をしたというお話が、たいへん印象的でした。
そのお金の使い方とは、次のような内容でした。
・取引先や経営者仲間と会食をし、2次会で高級クラブに行った。その会食と2次会は、自分が主催しているような立場だった。お金持ちが集まる場だったので、安っぽいところではなく、自分が普段行かないような高級クラブを2次会の場に選んだ。
・お金持ちの皆さんだから、飲食代を出してくれるのではないかと期待していたが、「今日は○○さん(同経営者様)のおごりね~」というノリで、出してくれそうにない雰囲気だった。請求書の約50万円を見て青ざめたが、覚悟を決めて自分がすべて払うことにした。
・その結果、「次はごちそうします」「次の商談の機会があったら、まっさきに話をしたい」などと言われた。お金の使い方を見ているのだと感じた。お金をぱっと使ったら気持ちいい。みんなも笑う。それでいいのではないか。
・これまでにやったことのないことをやったら、見たことのない結果が得られるものだと感じた。一見無駄だと思うことも、やってから判断したらいいのではないか。
1人の人にすべての飲食代を払ってもらおうとする他の人の態度が妥当なのかは、個人的には疑問が残りますが、どのような利害関係者とどのような経緯があっての懇親会なのかまでお聞きしていないこともあり、そのことへの是非はここでは問題にしません。
そのうえで、同経営者様の割り切りと、「これまでにやったことのないことをやったら、見たことのない結果を得る」という視点には、感じ入るものがありました。
極めて個人的な体験の話なのですが、先日初めて乗馬をしました。あまり乗馬に興味がなく、これまで一度も試したことがありませんでした。しかし、社員数人と旅行した先で乗馬が観光コースに入っていて、その乗馬だけ断る理由もないため、1時間の乗馬体験をすることになったというわけです。
やってみると、馬の気分になったようで、馬が見る景色はこんな感じなのかと、新鮮な気分でした。
また、その経験を通して、馬の景色が自分にも見えてくるということに加えて、下記のような気付きがありました。
・インストラクターから再三にわたって、「腰をもっと馬の右側に寄せるように」という指示が飛んできた。自分では馬の真ん中に乗っているつもりが、常に左側にずれて座っているということ。つまりは、体幹が左寄りで歪んでいるということ。
月1回のカイロプラクティック施術で、左右のバランスが悪いと言われることが多いが、体幹が普段から歪んでいるということを印象深く身をもって認識できるきっかけになった。
・1時間という限られた時間でも、足と手綱を使うことで前進、止まれ、右・左への方向転換が、それなりにできた。慣れてくれば、足と手綱で思うように馬に走ってもらうことができそう。そして、速いし手軽、坂道や狭い道にも強い。
馬が移動手段として優れていて、古来から多くの人に使われてきた理由が、身をもって実感できた。何かの分野でディファクトスタンダードになるものは、やはりそれなりの合理的な理由があると痛感した。
馬を操って移動させる技能が日常生活で直接活きる場面は、私の生涯ではおそらくないだろうと思います。一方で上記の視点は、今後の日常生活で活きる場面がありそうです。
このことは、普段高級クラブに興味がない冒頭の経営者様の例に通じるのではないかと感じたわけです。これまで興味がもてていなかった乗馬という体験をわざわざしたことで、得られたことだと言えます。
何でもかんでも経験すればよい、経験すべきというわけでもありません。
そのうえで、日常と異なることをやってみる、そのような機会があればその機会に乗っかってみることも、やはり有益だと感じた次第です。
<まとめ>
これまでにやったことのないことをやったら、見たことのない結果が得られるときもある。