第6歩「告白の時」

 (※2018年9月ハチモットで連載た記事の加筆修正版となります)
 
 前回は憧れの藤森さんにお茶を!一夜漬けお茶会のお話でした。
あまりの赤裸々ぶりに、大反響(笑)
皆さま心が広くて、どなたからもお叱りはうけませんでした。
 
さあ、ついに告白したいと考えた私。
空飛ぶ泥舟WSで藤森さんに親近感を覚え、そして骨髄バンクのドナーになり自分を生きる事の大切さを考えた時・・・。
人生を振り返って何か後悔するとしたら、それは藤森旅館をやろうとしなかった事。
そう、私は藤森建築で宿がしたい!
世紀のお茶会を経て、いよいよ藤森さんに想いを伝える事になります。

 

お茶会がおわり、藤森さんに会える次の機会はその20日後のギャラリートーク(藤森さんが展示会場の案内をしてくれるというスペシャルな企画)
しっかりとお休みを申請して、その日を楽しみに待ちます。
が、ただただ待っている様な私ではありません。
藤森建築で宿をしよう!と心に決めたのだから、藤森さんにもこの気持ちをしっかり伝えなくてはいけない!と、謎の使命感に燃えています。
「う~ん、企画書か?」
と言う事で私は藤森さんに“企画書”という名のラブレター♡を書く事にしました。
その内容はこんなふう、さすが赤裸々コラムです、ラブレター大公開(笑)!
現在の私の声を( )の中に書き足しました。
※手元に残っていた下書きのメモと記憶を頼りに復元しています


藤森照信様
こんにちは、ワークショップに参加していました大畑です(旧姓)。
この度は素敵な企画、そしてお茶会を催していただき
ありがとうございました。
明日で展示会も終わってしまいますね、お疲れ様でした。
私は高過庵を知って以来、藤森建築の虜になっています。

(今も変わらず)
本を見たり、展示会に行ったり、建物のどれにも心を感じます
息をしている様な・・・特に小さい茶室は命あるものと思うほどです。
そんな中で、私にとって今回のWSは夢のような時間でした。
空飛ぶ泥舟の制作に携われた事の他に、藤森さんの大きく暖かな人柄に勝手ながら愛着を持てた事が特に嬉しかったです。
本当にありがとうございました。
そのお礼を伝えたかったのと、お願いがありお手紙を書きました。
(ついに!)
突然ですが、私には夢があります、
それは泊まれる藤森建築を作る事です。
(ジャジャーン、これこれ)
焼杉ハウスの存在を知り、羨ましくおもったり、
あの中での暮らしはどんなのかな?と想像したりしています。
私も藤森建築に暮らしたい、そして沢山の人に泊まって欲しいと本気で思っています。
(※焼杉ハウスとは、親交のない人の住宅を設計した事のない藤森さんが初めて手がけた住宅)
しかし、残念な事に、この先何十年と私が働いて稼いだお金では
この夢は実現させられそうにありません。
たとえ真っ当な仕事でなかったとしても同じ・・・。
(どんな仕事や?)
一般的に設計をお願いする場合は、土地やお金の見通しがあってお話をもっていくのが筋でしょうか?
(筋でしょうね)
でも、私の場合はどちらも持っていません。
(自信満々に・・・申し訳ない)
そこで別の方法を考えました!
(切り替え早い、いいぞ過去の私!)
藤森さんが設計してもいいよ、と言ってくだされば、
色々な所にかけあいお金を貸して(出して)いただきます。
貸し手の側にもメリットがある所にです。
助成金も大活用します。
それとカーサブルータスに特別号を作ってもらいたいです、
“(仮)藤森旅館ができるまで”お金を集めるその前から包み隠さず丸ごと書いた一冊。
(赤裸々カーサ)
その号の売り上げなど一切いらないので、毎号の紙面で進み具合やボランティアスタッフ募集、資材の提供などを呼びかけていただきたいです。
多くの方に冒険物語のようなワクワクとドキドキ、何かを感じてもらえたら嬉しいのです。
と、例えばですがこの様な企画でたくさんの人に共感していただきながら宿を完成させたいと思っています。
(夢は一つ、方法は無限と信じてるんですね。)
 
〈そして宿の営業方法などを長々と書いていますので、省略、またいつか〉
 
この様な内容で興味を持っていただけたら嬉しいです。
(藤森さん、無茶なお願いをすみません)
藤森建築で宿を開き、多くの人に幸せで豊かな時間を味わってもらいたい!
そして、地域の新しいシンボルとなる事。
この様な気持ちでいます。
お忙しい中、長い手紙を読んでいただき有難うございました。
これだけでは伝えきれず、書ききれもしません
お時間ある時にお話させてください。
ご連絡お待ちしています。
ますますのご活躍を心より楽しみにしています。
大畑典子 
連絡先いろいろ○○○○


改めて読むと赤面なのですが・・・
朝になって読み返すラブレターだからしょうがない。
 
さあ、お手紙も書き終わり準備万端!
ギャラリートークの日、心強い事にお茶騒動でお世話になった桂子先生も一緒です。
ギャラリートークの前に、桂子先生に高過庵や神長官守矢史料館を案内します。
何度見ても見飽きる事のない藤森建築。

「あなたの兄弟を作りたいです、私の事をどうぞ見守ってください」
パンパン(二拝の音)と、神社でのお祈りさながらの言葉を高過庵に(笑)
藤森旅館への決意を新たにします。
気合い充分に、会場の茅野市民館に移動します。
 
 
そしてギャラリートークに参加します、藤森さんのお話は解りやすくとっても面白い!
会場中が楽しい雰囲気に包まれています。
楽しくて幸せ!けど手紙の事が気になってしまいココロココニアラズ。
ギャラリートークが終わり、手紙を渡すチャンスを狙います。
放課後の下駄箱、そんな感じでしょうか?
そして、ついについにラブレターを渡します!
が、肝心なこの場面を覚えていないのです。
2010年の出来事だからではなく、緊張で手紙を渡した手が震えていた記憶しかないのです。
手元に手紙もない!
桂子先生も証人!
と言う事で確実に手紙は藤森さんに渡りました!
告白終了ー、ほっ。
こうして無事に告白を果たした私、藤森さんはこの気持ちに応えてくれるのでしょうか?
さて、次回は「何度も何度も」です。

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