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自然と生きる

Do the right thing

やるべきことを、やる。
そう決めたのが2011年3月11日の数日後。

自然はでかいから、どうしようもないことも山ほどあるのだと、あのとき学んだ。なんでこんなにひどいことをするんだ、と思う。涙が出る。だけど渦中にいない人間が泣いていてどうする。やれることがあるなら、やろう。自分のコンディションを保ちながら、ただ「やるべきこと」に集中しよう。

今回の熊本の大地震。ひとりひとりがやるべきことも違うし、やれることも違う。「何を成したいか」も「何を大切にするか」の考えもまったく違う。中には理解しあえないこともある。だけど、みんな、自分のやるべきことをやっているのだ。そう思えば、お互いを許容して、自分のミッションに集中することができる。言うなれば、「たかが善意のかたちが違うくらいで、いがみあっていてどうする?」ということだ。そんなことよりもやるべきことはその善意の人で連携を持つことで、混乱に乗じて悪を行う一部の悪魔みたいな存在を、見つけて、ぺしゃんこにして、街から叩き出すことだ。

今回の熊本に対しても、変わらず粛々とやるべきことをやる。ひとりひとりのできることは少ないかもしれないけれど、ちょっとだけ自分の人生をお裾分けすることで、いま熊本で災禍の渦中にいる方が一刻も早く平和な気持ちを取り戻せればいい。笑顔をもう一度取り戻せればいい。そう思う。

『「悪い敵」がいて、それと戦うという物語は、勝ち負けが重要だった。相手が宇宙人でも、同じ。しかし、「自然」というやつと戦うのは勝ち負けが問題なのじゃなくて、和平のみを目的にするしかない。あれだけひどいことをした自然が、もうじき桜を咲かせる。(糸井重里)』

【地域情報誌フジマニvol.116(2016年5月)掲載の編集長コラムからの転載です】

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