俺が書くBL小説は何故ウケない?! ②/これが読まれる……だと……????

スリラー小説『患者たちの恋人』本編↓

 連載二回目、『俺が書くBL小説は何故ウケない?!』です。
 二作目からは二次創作作品のタイトルになります。今回は『ズミの沼より』を取り扱います。

 サイエンス・ホラーのエログロで、当時谷崎潤一郎を読んでいたこともあり、「一文を長くしてみよう!」と、前半部分でのみチャレンジした作品。
 改行は少なく、やや古風な言葉を多用したこともあって、「これはウケないだろうな〜。読んでくれても、多くて10人」とたかを括っていました。

 しかし、蓋を開けてみたところ、実際には(当時使用していたアカウントで)19件前後のブックマーク。これには度肝を抜かれました。
 現行のアカウントでも25年2月現在5件のブックマークがあり、『患者たちの恋人』よりも読まれています。
 何故??????

(本文冒頭)
「好きなもの。僕の好きなものが知りたいの?」
 そうイソップが尋ね返せば、ノートンは事も無げに頷いてみせた。その知りたいと云う割に透明すぎる眼差しは、雨降る路上で横たえられた人形の義眼みたいに茫然と見澄ましてきて、本当に正気なんだろうかと益々イソップを怪訝させる。それでも、飽くまで返答するべくイソップがこまねいてみせたのは、このノートンという癇持ちの男が、不意の平手打ちや馬乗り、胸倉を掴んで揺すってくるといった生温い揶揄の末に、例の底気味悪い笑顔で、みだりに腫らせた股間を延々なすり付けてくる蛮行をすぐに働きたがるからである。よもや今、という思いもあったが、今だからこそ徒に刺激したくはないと思う──。
 そうして這い蹲るようにして頭の中をうろつく内に、大判の白紙と睨み合うような息苦しさに取り囲まれていく。頭痛の気配に頭を振った。

           *

 ……いや、何故??????
 ただ、エログロとかサイエンスとかホラーとか、ジャンルとしては非常に分かりやすく、この冒頭からすぐカップルにあたる二人のやり取りが始まり、割り合いスムーズに本編に合流しはします。
 また、BL小説にしてはあまりにも地の文が多いのですが、斜め読みと台詞の拾い読みとで何となく察せるストーリーラインでもあります。
 あとは、『スワンプマン』という概念を知らないと理解できないのでは?と当時心配だったものの、事前に読み込んでくれた友人曰く、「全然、何となくは理解できるよ」とのことで、なら良いか、と納得しました。
 それに、エログロと謳っているため、僕が書いたにしては長めの濡れ場だけを読んでブックマークされた方も中にはいらっしゃるかもしれません。
 この作品に関して言えば、そのエログロがホラー的オチへと繋がっていくこともあり、非常に気を配って書いた箇所です。光栄なことだと思います。

 『患者たちの恋人』と異なり、書こうと思えば如何様にも柔らかく書けた作品なのに、思いの外、長文で書く遊びにハマってしまい、「まあ、何れにしても読まれないし良いか」と、徒に難解に書いてしまった作品です。
 それでも、やはりBL小説的な題材やストーリーではないので、19ブックマークで満足するべきかな、とも思います笑
 それに、シナリオそのものに新しさはなく、雰囲気を楽しむことに重点を置いた作品ということもあって、過度な期待はしていませんでした。

 『患者たちの恋人』も斜め読みで良いからもっと読んでもらいたいなぁ……。

『患者たちの恋人』紹介文↓

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