韓国の戒厳令から考える憲法改正と首相公選制と緊急事態条項 その1

昨日、韓国で「戒厳令」が発せられたのはご存じでしょうか?「戒厳令ってなに?」と思う方もおられるかもしれないので一般的な説明をいたしますと「異常事態(内乱や戦争など)が国内に発生したとき、国家元首の命令によって立法権・司法権・行政権の全部又は一部を軍隊の支配下に移すこと」です。つまり軍隊が国の最高機関になるわけです。その際、国民は外出や活動などが制限されます。

さて、何故韓国で戒厳令が発せられたかという事は多くのメディアで報道されておりますので今回は別の方向でnoteを記載します。

先ず戒厳令を誰が発するかというとそれは基本的に国家元首です。韓国でいうと大統領ですね。ではそこで問題となるのはもし日本で戒厳令を発令するとなると誰になるかという事です。実は日本には戒厳令を発する法律がありません。つまり戒厳令は起こせないのです。似たようなものですと自衛隊の「防衛出動」と「治安出動」があります。戒厳令に比べますと立法権や行政権・司法権を支配下に置くことは出来ないのでそこまで制度的には不安な状態ではないのと内閣総理大臣が出動命令を出した後に国会の承認が必要という点では民主主義が失われることはなさそうです。
しかし、何故韓国では戒厳令という大変強い制度を大統領は発せられたのでしょうか?それは…

大統領が国家元首だからです。

話はここに戻ります。では日本の国家元首ってどなたかご存じでしょうか?実は日本には正式な国家元首は存在しておりません。「え?」っと不思議に思う方もおられるでしょう。この辺りを説明いたします。原則的に国家元首とは憲法や法律などで定められております。しかし、日本の法律には国家元首を定める条文が無いのです。「いやいや、天皇陛下がおられるじゃないですか」と思った方、残念ですが天皇陛下は憲法上「日本の象徴」であり国家元首ではないのですよ。つまり日の丸や富士山と同じです。「それは流石に言いすぎだろ?だって日本の政治家や海外の要人は天皇陛下を敬っているじゃないか!」と思われるかもしれません。実はこの辺りは憲法学者や政治学者でも意見が分かれておりまして

「今までの歴史から見ても天皇陛下が日本の国家元首であり、『象徴』とはすなわちそういう意味も含まれる」
「いやいや、やはり『国家元首である』と書かれていない以上は天皇陛下を日本の国家元首と認めるのはおかしい」

といった感じです。ではもう一つの問題について考えたいと思います。内閣総理大臣(首相)というのはどの国でも国家元首ではないので大統領と比べると権限が大変弱くなります。「日本も強いリーダーシップ(権限など)を持つトップが必要だ!」という意見も少なくありません。では日本を大統領制にすれば…と考えるとそこで問題が出てきます。それは「大統領制になると天皇陛下が国家元首になれなくなる」という事です。だって1つの国に国家元首が2人存在するっておかしいですよね?でも先ほどの様に強いリーダーシップ(権限など)を持ったトップが欲しい…。しかし、大統領の様に国民が直接信任していない人に強い権限を与えるのっておかしくないでしょうか?そこで考えられたのが

首相公選制です。

つまり内閣総理大臣を国民の直接選挙で選ぼうという事です。これは国民からすると大きなメリットがあります。すなわち自分が首相候補者に直接投票出来る事です。例えば条件に「推薦人〇〇人以上」「各政党1人まで」としたらどの政党も本気で国民から信頼される方を首相候補として擁立してくるのではないでしょうか?人間関係のしがらみによる立候補も少なくなると思われます。

しかし、それでは国家元首問題は解決いたしません。となるとやはり憲法改正が必要となるのではないでしょうか?憲法改正というと大体は「9条」に対しての論争となりますが憲法1条又は国家元首に関する条文も改正する必要があると思います。物事は一つの部分だけを見るのではなく大きく広い目で見る必要がありますね。

それでは本日はここまで。次は「緊急事態条項」について語ります。

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