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2024年版-肩甲帯マルアライメント評価‐


どうも肩関節機能研究会の郷間です。

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今回は肩甲帯のマルアライメント評価についてまとめさせていただきます。
肩甲帯は肩関節(肩甲上腕関節)に次いで肩関節で大きな可動域を有する関節になるため、評価の種類はたくさんありますが、ポイントさえ覚えてしまえば、そこまで難しい部分ではありません

本記事では静的な肩甲帯のマルアライメント評価から、動的なマルアライメント評価まで一挙にご紹介したいと思いますので、ぜひ臨床の予習復習、自己学習にお役立てください。

肩甲骨の動き

そもそも肩甲骨はどのような動きをするのでしょうか?
こちらのスライドをみていただくと
挙上、下制、内転、外転、内旋、外旋、上方回旋、下方回旋、前傾、後傾の10種類が挙げられます。

また、これらの動きは一次元的な動きではなく、複合的に生じます。


例えばこちら。
肩甲挙筋の収縮(作用)だけを考えると、肩甲骨は挙上、内転、前傾、下方回旋、外旋の5つの運動が複合的に生じます。

しかし、筋肉が単独で機能することは、まずありえないので、ここまで綺麗に肩甲挙筋だけの作用で動くということはまずありえません。

続いてこちらの動きをご覧ください。

静止画像だとわかりにくいですが、肩甲骨は挙上と下制の中間位、内転と外転の中間位、そして後傾、上方回旋、外旋の運動が生じています。
この動きは、僧帽筋と前鋸筋による複合運動です。

こちらも完全な肩甲骨の動きではなく、これらに肩甲骨運動に携わる小胸筋や肩甲挙筋、小・大菱形筋、広背筋、そして回旋筋腱板の作用が複雑に機能して初めて肩甲骨は円滑な動きを可能にします。

つまり、これからご紹介する肩甲骨のマルアライメント評価は
単独の筋が悪さをしているとは言い切れない”ですが、ある程度の憶測は可能ですので、ぜひ覚えていきましょう。

そもそも、肩甲骨の10種類の動きというのはどのような動態なのか確認からしていきたいと思います。

まずは胸鎖関節を軸とした4つの肩甲骨の動きをご紹介します。

肩鎖関節軸の肩甲骨運動

胸鎖関節軸の動きは挙上、下制、内転、外転です。


続いて肩鎖関節を軸とした6つの肩甲骨の動きです。

胸鎖関節軸の肩甲骨運動

肩鎖関節軸の動きは前傾、後傾、上方回旋、下方回旋、内旋、外旋です。
なんとなくイメージは付きましたか?



ここで余談ですが、肩甲骨の動きの中で内転、外転、内旋、外旋という動きがありますが、この中で内旋と外転の複合運動をProtraction、外旋と内転の複合運動をRetractionと呼びます。

ここは普段の臨床でも常にイメージしながらみている動きですので覚えておきたい用語ですね。
前日、PTの知人からRetractionとRetractionがごっちゃになるけど覚えるコツはあるの?と聞かれたのですが、正直わかりません。。

ただ、後付けにはなりますがProtractionのProはPre(前)と似ているので、
P=前(Protraction=前の肩甲骨が動く)と覚えるのも一つの手かなとは思いました。

余談もはさんだところで、早速肩甲故地のスクリーニング評価をご紹介していきたいと思います。


まずはScapular dyskinesis(肩甲骨の位置異常)です。

Scapular dyskinesis

私が一番重宝しているScapular dyskinesis(SD)は、安静時の肩甲骨マルアライメント評価です。

この考えは肩甲骨のマルアライメントを3パターンに分けているものになります。

Ⅰ型:肩甲骨前傾の増強 
この場合、小胸筋の短縮や過緊張に加え、僧帽筋と前鋸筋下部の機能低下が疑われます。

Ⅱ型:肩甲骨内旋の増強
この場合、小胸筋の短縮や過緊張に加え、僧帽筋と前鋸筋全体の機能低下が疑われます。

Ⅲ型:肩甲骨上方回旋挙上の増強
この場合、Ⅰ・Ⅱ型の問題に加え、僧帽筋上部の過緊張が疑われます。

しかし、Ⅲ型は安静時にはほとんどみられることがなく多くの患者はⅠ・Ⅱ型呈しています(エビデンスはありません。経験ですすみません。)

ですが、以下の方法を取り入れるとⅢ型が非常に多くみられますので、必ず安静時のScapular dyskinesisだけではなく、以下の方法を取り入れて下さい。

その方法というのが屈曲位ないし外転位での評価です。

安静時(下垂位)ではほとんどがⅡ・Ⅲ型ですが、挙上位になることで僧帽筋上部が過活動を呈し、Ⅲ型(いわゆるShoulder Shrug sign)を見つけることができます

高度な僧帽筋上部の短縮が生じていれば、安静時でもⅢ型となるケールもありますが、ほとんどは短縮というよりは過緊張(過活動)によるものですので、ぜひ安静時だけでなく挙上動作を加えて評価をしてみてください^^

ということでScapular dyskinesisは”定性評価”のため数値で表すことのできない(多少経験を積まないと見逃してしまう)評価方法ではありますが、大まかな評価としてはスピーディーかつ簡便な評価ですので、ぜひ今後の臨床で意識して評価してみてください。

ではここからはもう少し細かな肩甲骨の定量評価をご紹介したいと思います。

静的評価

まずは肩甲骨の上方回旋と下方回旋の評価、Spino Trunk Angle(STA)です。
こちらは脊椎の棘突起と肩甲棘から成す角度です。
こちらのSTAも下垂位、屈曲位、外転位で分けて評価することで肩甲骨の上方回旋、下方回旋が不足しているのか過剰に動いているのかがわかるので非常におすすめです。


続いて肩甲骨のRetractionとProtractionを評価するScapula Spine Distance(SSD)です。
こちらは脊椎の棘突起の肩甲骨の最も内側部に位置する棘三角までの距離を計測する方法です。

では臨床でどのように応用していくのかをご説明いたします。


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