非常に分かりやすく「デザイン思考」の先にある新しい概念を紹介している。確かに、複雑な課題を解決するために、使い古されているマーケットイン発想やデザイン思考には限界がある。「すでに自社では顧客重視ですよ」という企業がほとんどである。もはや、副題ともなっている「モノづくりから、コトづくりへ」を超えた先にある事を考えていかねばならないフェーズにあるのだろう。
また本書は新しい概念の紹介だけではない。具体的にどうすれば、デザイン思考を回せるのか、その先にある概念にリーチすることができるのか。そのヒントが述べられている。手法そのものは従来のものをコラージュしたものにすぎないかもしれないが、全体を通して見ると、デザイン思考の先にある新しい意味の創造へのアプローチにつながる。
著者自身が起業家なので、取り上げられている内容や事例は現場感と再現性があるように感じる。
本書を読む前に、ロベルト・ベルガンティの『突破するデザイン』を読んでおくと、より深く理解が深まると思う。良書である。
◇ 気になった個所
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◇プロフィール
藤井哲也(ふじい・てつや)
株式会社パブリックX 代表取締役/株式会社ソーシャル・エックス 共同創業者
1978年10月生まれ。京都大学公共政策大学院修了(MPP)
2003年に人材ビジネス会社を創業。2011年にルールメイキングの必要性を感じて政治家へ転身(2019年まで)。2020年に第二創業。官民協働による価値創造に取り組む。現在、経済産業省事業のプロジェクト統括も兼務。
議会マニフェスト大賞グランプリ、グッドデザイン賞受賞。著書いくつか。
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