パーソナルトレーナー藤井自伝98

久しぶりの日本の海へ

日本帰国後に肉体改造をする中で、友人に連れられて近くの海へいくことが多くなった。
ただこの海が半端ではない。
女の子が喜ぶような砂浜をイメージするような海水浴場ではない。
断崖絶壁を下って行くような海に面しているだけの海岸沿いである。
同じ海、というワードでも連想することは大きく違うことをこの時認識した。

崖を下るため、ビーサンではなくしっかりとスポーツシューズである。
ひとしきり下ったあとは嬉しいことに辺り一面の砂浜ではなく、ゴロッゴロの岩が敷き詰められた海岸である。
もちろん人は誰ひとりいない。

「いや、人がいないほうがいいじゃん」

と知人はいう。
静かな海は波の音やそよぐ風、自然と一体化してとても気持ちが良いが

「海いこーぜ!」

で連想した海とはイメージが違う。
だんだんとこういった海にも慣れてきて、いろんなところに繰り出すようになった。
元々カナヅチだった僕は泳ぎは決して得意ではない。
むしろどっちかというと苦手だ。
中学校の時に波で戻れなくなってライフセーバーに助けられた経験まである。

海岸沿いに車を止めてトランクを空けて、そこに座って波音を聞きながら飲むお酒が好きだ。
いつの間にか崖を下って岩ばかりの海でシュノーケリングをしている自分がいる。
意外にも色んな魚が多く、浅瀬でも楽しめる仕様だ。
ちょっと大きい魚がいるとビビるのは海マジックである。

時には車を飛ばして川に入ることもあった。
ここではカニがとれるらしい。
しっかりととっても良い場所か確認したあと、友人と一緒にとることに。
川に入り、大きな岩の下に手袋をした手を突っ込みとる手法だ。
毎日トレーニングで肉体改造の筋肉痛の体にはこたえる。
そもそも自分の指をカニにハサミで挟ませてとるというよくわからない原始的な方法だ。

これが手袋をしていても相当痛いらしい。
ビビリながら手を岩下に差し込み続ける。
残念ながら僕の方にヒットは無かったが、友人の方で捕まえた。
ここらへんはさすがである。

変わった友人に連れられて変わった海ライフも日本で満喫するようになったのである。

続く

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