フライト
約束はきらい
階段のてっぺんから
緩やかに地下へゆく
赤色のスイッチ
押したくないの
一緒に行こうと言った国
これでもう叶わないね
いつにしようかあたしが聞いて
きみがほら濁したんだよ
真っ暗な要塞にひとり
蝋燭に 照らされて
包むのはあたしの荷物だけ
もう行くの、新しい空へ
指切りはしない
買えなくて縫った靴底
じんわりと雨滲む
青色の信号
見えてもないの
まっ黒な前髪の裏で
白の砂浜 夢見た?
諦めたらだめだったのにね
悲しいの、あたしの方だよ
長く待ちすぎて
太陽と月が入れ替わり
デッキの上から見送った
翼はためくのをもう、
あたし見れないや
一緒に行こうと言った国
これじゃ誰とも行けないや
いつにしようかあたしが聞いて
きみがほら濁したんだよ
いつか白の砂浜と海
遠浅の透明に足を浸けて
きみを思い出すからいいよ
もう行くの、新しい空にね