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木漏れ陽


見たまま映せるらしい
話題のカメラで撮ったって
この揺らぎは
この煌めきは
残せやしないから

この瞳がレンズで
瞼がシャッターならって
その横顔や
その指先を
何度も捉えて目を伏せた

陽の当たる縁側がすきだった
ざらついた木目をなぞって
別に可愛がってなかった
猫の背中、撫でたりして

夏の間、蝉の音
秋はオレンジの金木犀
冬はストーブの香り
春になれば紋白蝶

本当にシャッターを切ってたから
今も眺められる 記憶の色
思ったより時間が経ってさ
目の前はもっと鮮やかだよ

いつか終わってしまうらしい
この時間が尊くたって
この揺らぎは
この煌めきは
きっと来ないから

この瞳はレンズでも
瞼はシャッターでもない
その眼差しや
そのはにかみを
忘れたくなくて焼き付けた

少し狭くて新しいけど
ここにもある木漏れ陽に
気づけて良かったと思うんだ
僕は忘れないように
目を伏せて夏の音を聴く
この安いレンズでいいからさ
いつか見返せるように撮るんだよ

二度と帰らない時間だ
きっと分かってないだろう
パッチワークの光と影が
きみのこころのなかみたいだ

忘れたくないから焼き付けた
いつか見返せるように撮ったんだ

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