能登へ
能登半島地震の復興支援に行ってきた。
旅を始めて1年間、この後は紀伊半島を巡って西に向かうつもりだった。そんな中、滋賀でリゾバをしていたら地震が起きた。
被災地が能登半島だと知ったとき、自然と行くことを決めた。
そこには、正義感とか社会貢献みたいなものはなく、ただ、去年の能登での思い出だけがあった。
僕は去年の5月に初めて能登半島を訪れた。
バイクで走りながら見る海はどこから見ても綺麗で、毎日のように夕日を眺めていた。特に増穂浦の海岸が好きで、あの感動はいつでも思い出せる。
もう一つ、能登の思い出として印象深いのは、青林寺だ。和倉温泉にあるお寺で、天皇が休暇で使う仮設の建物である御便殿を見ることができる。この御便殿と黒島の伝統的建造物群保存地区が僕の建築への興味を一気に加速させた。
これら能登半島の自然や文化に導かれ僕は復興支援に参加することにした。
これは地域が持つ様々な財産の力であり、その財産を守ってきた人々の力である。
だから今回の復興支援でたくさんの「ありがとう」を言われたけれど、その「ありがとう」の半分くらいは能登半島の魅力を守り繋いできた地元の人たち自身に還元して欲しい。
そして実際に被災した人たちが、私もボランティアのお手伝いをしたい、という声も聞いた。
いつまでも被災者ではない。手を借りた人が手を貸す側に。
マイナスな力をプラスに変える強さが被災地には溢れていた。