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【自転車旅】『幸せ』に気付いた瞬間

不幸せの無限ループ

 誰でも最初は何もできない。長く生きていくとできないことの方が多くなってきて、そもそもチャレンジしようとしなくなる。無駄なことはしない。その方が賢い。そうやって人生を積み重ねていくと、勝手に自分の限界を自分で決めてしまう。そうやって、自分の周りには、自分が想像した範囲内の出来事ばかりが残って、平凡な日常だけが繰り返される。

 僕もそうやって過ごして来たし、何の疑問も持たなかった。それが当たり前だと思った。そんな環境では『あの人より得した』とか『まわりがまだ見ていない映画を見に行った』とかが幸福感の源になってる。『自分』が何をしたいかよりも、幸せの基準は自分以外の『誰か』。追いかけても追いかけても、追いつけない。小さいころに、太陽を背にして自分の影に追いつこうとして、疲れちゃったことを思い出す。そんな無限ループの鎖が外れたきっかけが僕とっては『自転車旅』だった。

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そうだ 一人旅をしよう!と決めた時から

ある年のお盆休みに入る3日前。例年なら必ず仕事が何日か入るのに、その年は仕事の予定がない。じゃ、どこか一人旅してみたいと急に思い立った。でも、今からじゃ宿が予約できないんじゃないの?一人旅って淋しくない?と思いつつ、一人旅なんて久しくしてなかった自分としては、ひょっとして『旅』ができることにワクワクしている自分がいた。
まずは目的地。近すぎと遠すぎず…そうだ長野がいい!お金はあんまりかけたくない。一人旅だし。でもハイシーズン中で空いてる宿がそもそもあるのか?じゃらんで調べてみる。2万以上の宿が少し空いてる。んー、無理無理。一人の旅に一泊2万円なんてあり得ない。やっぱり無理か…と思いダメもとで5千円以下の宿に絞ってみたら、『ゲストハウス』『ドミトリー』が3~4千円台で発見。今まで、宿泊は『ホテル』『旅館』しか頭になかった僕には思ってみなかった選択肢。要は相部屋でしょ。トイレや風呂は?きれいなの?知らない人と一緒に寝るのってどうよ?と自分の知らない世界を拒絶する理由がわらわらと頭の中に湧き出てくる。
だけど、ふと逆の発想をしてみた。もし、この宿に泊まるなら2泊してもおよそ8千円。二泊三日の旅行がこの金額。知らない人と知り合えるかもしれないし、浮いたお金で少しリッチな食事もできる。むしろメリットの方が大きくないか?相部屋がいいかどうかなんて、自分の心次第だよね。

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長野県白馬のゲストハウス

自分の限界は自分次第

 そう思えたら、今まで頭の中にかかっていた霞がぶわーって吹き飛んで、いっきに視界が明るくなったのを今でも覚えてる。次から次へと一人旅のアイデアが出てくる。それじゃ、いっそのこと自転車で行ってみたらどうよ。山とか景色すごくいいよね。こんな距離走れるのかな?でもできたらすっごく楽しいぞ!そしたら、同じところで2泊じゃなくて、長野を周遊しよう。登ったり大変だろうなー。でもすっごく楽しそう!できなかったら、最悪電車で帰ってくればいいし何とかなる。むしろそういうことがあった方がいい思い出になる…。
 もう自分の頭の中はワクワクで、どんな大変なこともポジティブに考えられるOSに切り替わり、『するか しないか』じゃなくて、『どうやってするか』の一択アルゴリズムになった瞬間だった。そのあとは、もう楽しくて楽しくてしょうがない。こんなことができるのは、僕以外誰もいないんじゃないか?って(笑)

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いつも無意識に諦めてることに気付く

本当に楽しかった。あれから4年たつけど、今でもあの時の心の高揚ははっきりと覚えてる。その時の『自転車旅』自体もいろんな予想外が出来事があったけど、かけがえのない思い出になった。なにより自分が勝手に考えていた自分の『思い込み』を捨て去って、自分の心を解き放たれたときに、心から『楽しい』と思えた。振り返ると、にこれが自分にとっての『幸せ』なんだと初めて気づいた。今までの自分は、知らず知らずのうちに、やらない理由を見つけて、諦めて、そして自分の『幸せ』が何かを見失っていた。

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自分の枠を『超える何か』

僕なんかよりもすごいことをやっている人は、そりゃーもちろんたくさんいる。憧れるし、そんな風になりたいとも思う。でも、『幸せ』を感じるのは自分自身。自分が本当にこれだ!と思う瞬間って、きっと自分の想像する枠を超える何かに出会えた時なんだと思う。『超える何か』というのが自分なのか、旅で出くわす景色なのか、はたまた、思いがけない人との出会いなのか…。自分の想像をいろんな『超える何か』を、今僕は生きがいにしてる。(おわり)

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