自転車と四十肩
発端
今年になってからの緊急事態宣言もあり、泊りでの自転車を控えつつ、粛々とZWIFTで体力維持(アップではない)に努めていました。3月半ばで宣言が解除されて、堰を切ったかのように茶畑を見に静岡へ、Flecheのための下見に長野へやらとロングを解禁すると、右肩(右首?)に違和感?というよりもっと具体的に痛みがあって、少し不安になった。
でも、乗り始めは痛くないし、長く走ってると痛くなるのはよくあること。だから、Fleche前に少しでも改善しとこうと、3月下旬にめったに行かない病院(整形外科)に異常がないかを診てもらった。
レントゲンを撮り、首の骨や軟骨には異状ないということで、あっさり『四十肩』というあまり名誉でない病名を言い渡された。そういわれると、軽い驚き。これが四十肩か。想像と何か違う。四十肩って、もっとこう、運動してない人が肩が上がらなくなったりするイメージだけど、自分は肩はグルグル回る。腕を上げて上を向くと「ピキッ」と痛みが走る。
診断に少し違和感を感じつつも、素人の考えよりお医者さんの診断の方が当然正しいし、なんだか先生も忙しそうだから、食い下がらずに素直に『四十肩』で納得した。
with四十肩
さて、『四十肩』と分かってしまえば、恐れることはない。いつかは治る。ネットではいろんな四十肩対策は出てくる。四十肩ごときでせっかくのモラトリアム期間をふいにすることはできんと、四十肩でも自転車に乗れる方法を前向きに探ることとしたのでした。そう、with四十肩。四十肩とともにロングライドを楽しむ道を選んだ。
まずは、今年最初のイベント、既出のFlecheに向けwith四十肩対策。本番前の一週間で距離100kmくらいを2本くらいこなす。大して、痛くない。ただ、前傾姿勢で前を見るために首を上げ続けるのが、後半は少し辛い。でも、それも、首を左に曲げてるとずいぶん楽。これか!? 見栄えは悪いけど、これがwith四十肩の正解を見つけたと自己満足にどっぷり浸った。
調子にのって走りまくり
そして、4月頭にFlecheで夜通しの360kmを走る。翌週には立て続けに、筑波山・霞ヶ浦からのいわき~那須の連続コンボで600kmくらいを走破。そして、京都まで自走で行って500km。それでも、それほど疲れは漢字点かったし、肩の調子も攻略法のおかげか、順調にwith四十肩を実践できていた(つもりだった)。
しかし、ここで運命のSR600京都で文字通り衝撃を受けることになった。SR600は距離600kmかつ獲得標高10,000m以上を60時間で走る一人イベント。やっぱり好き勝手に走るのとは違って難易度は格段に高く、体への負担は相当なものだったと思われる。三日間かけて走るが、2日目のダート道が相当堪えた。肩(腕?)へ今までとは種類の違う痛みが走る。そう、漫画でよくある稲妻に打たれるような描写。まさにそれ。痛みのデカさと範囲が『倍率ドン、さらに倍!』という感じ。そんなどうでもいいことを、ただひたすら自嘲するように念じながらその後を何とか走り切った。
さらに追い打ちで、帰りの輪行で新幹線は荷物を置ける席を予約しておいたからいいのだけど、東京から地元の駅まで在来線は考えてなかった。人が多くて輪行は大迷惑。仕方なしに、東京駅から自走…。50kmくらいをゆっくり3時間くらいかけてヘロヘロで帰路についた。でも、その時は、まだこれからの苦しみを知る由もなかった。
劇的に悪化
帰ってからのGWの予定も詰め込んでいた。一日休養日をとった後は、失業認定のためハローワークへ出所、そのまま高碕へ移動しブルベ300km、そのあとは、3日かけて自走で金沢まで行って、さらにブルベ400kmとなかなかハード。帰った次の日は、さすがに高碕ブルベはDNSしようかと思っていた。
しかし、そんな程度では全く済まなかった。一日、また一日と日がたつにつれて、症状は劇的に悪化。首肩が痛いのは当たり前で、身体全身がこわばっているのを日に日に感じるようになる。筋肉を手で触ると、どこもかしこも『ゴリゴリっ』と肩こりみたいな状態(もちろん痛い)。顔は上げてるのも辛い。唯一下を向いてる時だけが楽。食事をするだけの短い時間でも顔を上げていられない…。
これはただ事ではないと、GWの予定はすべて飛ばして自宅静養。GW明けにまた整形外科の同じ先生に見もらうと、見た瞬間に『疲労がすごいね。体の形が違う』を言われ、そうか、見た目も違うほどなのかと、変に納得。診察も秒殺。凝りほぐしと痛み止めの薬が処方された。だけど、整形外科の診察ってこんなものなのか?と不安に思いつつ、結局、自然治癒に頼らざるを得ない分野なんだろうなと、これも変に納得した。
この時点では痛み止めでやっとこの苦痛から解放されると安心しきっていた。帰宅し少し早い昼を無理くり食べてすぐに服薬。早く薬が効いてくれ!と願いつつ…眠気は来るがむしろ痛い!研ぎ澄まされてより痛く感じる気がする。昼間は効きが悪いのかもしれない。痛みをこらえながら夜を待ち、夕飯後にもちろん服薬。なんか頭が少しぼーっとするけど、痛い、どうしようもなく痛い。寝てても痛い。腕の重みで肩甲骨が下に引っ張られるのを感じる。腕を頭の上に伸ばしても痛い。横になっても痛い。うつぶせになっても痛い。何をしても痛い!
そんな状態が3日続き、薬を飲むのをやめた。
ネットでいろいろ調べて、ストレッチだのマッサージだのしてみたけど、よくなってる実感はない。でも、そんな中で、もしかしたら効いたかもしれない唯一のアイテムは『ストレッチポール』。楽天で購入し、背中を自重で押し付ける。ゴリ、ゴリゴリゴリーとすごい感触が伝わってくる(自分の体だから当たり前だけど)。油断してると、痛くてポールからずり落ちる(結構な音が出る)。うまくやると痛気持ちいいから、効果があるように感じた。
そして回復へ
現在、京都から帰ってきてから一か月ちょっと。やっとよくなってきた。回復の兆しが見えたのは、劇的に痛くなってから3週間ほど経った後。まだ、肩甲骨の内側と腕に痛みが残るけど、ZWIFTができるくらいには回復。体の疲労は回復し、四十肩が残ったということなのだろうか。でも、やっぱりこれって四十肩なんだろうか?何か筋を痛めてるような気がするんだけど…。なんにせよ、四十肩(⁉)も回復方向にはあるんで安心。
この記事は、自転車乗りが四十肩で同じような悩みを持っている方へ、参考になればいいなぁと思ってます。痛くて痛くて、来る日も来る日も痛みが減らない時期は、本当にへこみます。なにもやる気が出ない。でも、僕も回復したので、皆さんもきっといつかは回復して前みたいに自転車に乗れるようになると思います。
<終わり>