ムクドリのムック

林道の隅でムクドリがミミズをついばんでコテコテと歩いてる。
実家の夏蜜柑とおんなじ色のくちばしに、
焦げ茶にベージュ、そして白という毛の装い。
なんとも洗練された色使い。

ムクドリをみるといつでも
穏やかなおじいちゃんの畑を思い出す。
よく木の実をついばみにやってきてたからだと思ったけど、
そうじゃなかった。

そういえばおじいちゃんが一度、
ムクドリを捕まえたんだった。
大昔のことだ。

捕まえて、
お手製の竹籠に入れて飼ってたんだ。

動物を飼うというのは子どもにとったら
とてつもなくワクワクすること。

私は一丁前に名前なんてつけてた
「ムクドリのムック」
なんともセンスのない名前だが。

3日にいっぺんくらいは様子を見に行ってた。
畑の隅に置いてあるボロの物干し竿に籠をかけて置いてあった。

変なところに置いとくもんだなあとずっと思ってたけど。
いま気づいてしまった。

ムックは生贄だったんじゃないだろうか。

度々作物をついばみに来る
ムクドリへの復讐心。
穏やかなおじいちゃんの仕返し。
ムクドリのムックは、見せしめのために捕獲されたのかもしれない。

なんだかすごくぞっとした。

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