体が軽くなった分、心も軽いのに~かすみ嬢の居場所(31)


 思考が迷走してばかりの私を見かねたのか、気の毒に思ってくれたのか、痩せ姫の作者さんからのダイレクトメッセージが届いた。
 そこにはこんな文章が。
「願いをどこまで貫くか、現実との折り合いはつけられるのか、悩みは尽きないでしょうが、痩せ姫に憧れながらも、生活の中でこなせることは必ずあるはずなので、具体的にできることをこなしつつ、ちょっとでも楽になれる生き方を見つけていくしかないのかもしれません」

 たしかにそうだ。
 学業との両立をできるだけしていきたい今、綱渡りなのは仕方ないこと。
そこで確実にひとつひとつ「こなせること」を積み重ねていって、少しでも近づいていくしかない。
 痩せ姫に擬態したい者としては、それが唯一の方法なのだから。

 でも、治療を積極的に施そうとする圧力は本当に困るし、参ってしまう。学校からの休学、入院の話はけっこう本格的で、メールや面談の呼び出しがちょくちょくあって。
 とにかく今の姿は異常なのだと。

 その圧力はたぶん、拒もうと思えば拒めるのかもしれないけど、すごく自分を否定されているようで、気が滅入ってしまう。今は入院どころかお医者様にかかること自体への抵抗が大きく、その必要性も一切感じないのだから。
 治療を受けても良い方向へ進むとはあまり思えない。現段階では体調も自分でコントロールできているし、そんなお金もないし。今更、病人扱いされるのもなぁという感じ。
 以前より身体が軽くなった分、心も軽いのに。
 自分のやりたいようにできるように、今は痩せを維持できてるし、もっともっと痩せていきたい!

 どうにか誤魔化せるすべはないものかしら……

 そういえば、夏から秋にかけて、ちょっとずつでも痩せていくのが嬉しくて、ついつい細く見えるような服を好んで着たのが悪かったのかもしれない。自己顕示欲が強いんだな、私。
 だから最近は、厚手のものを重ね着したり、やや大きめの服を着たり、体重の逆サバを読んだり、と、そういう意味では誤魔化す工夫もしてる。
 だぼっとした服を着ていても、手の筋が見えたときにぎょっとされるので指先だけ出したり、普通サイズのジーンズの下に冬用のタイツ数枚とメディキュットをはいたり。ウエストをきゅっと締められないのですごくダサくて、何より太って見えるのがイヤなのだけれど……。

 階段を登れる程度の今の体力のまま、このまま痩せ姫らしく生きられるように、めいっぱい努力していこう!
 周りからの干渉に屈しないようにして。


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