2084年(7)クレイジーSを着るために⑤
一方、女主人もまた、自分の発した言葉に驚いていた。
自分語りはしないようにしているし、実際、ほとんどしたことがない。
過去を語り出したらキリがなく、また、明るい内容でもなく、ましてや相手は自分の娘でもおかしくないような高校生だ。
ただ、あんな言葉を発してしまった以上、何も語らないのは不自然だし、不誠実なことでもある。
じつは女主人もかつて、細いことに憧れ、痩せることを極めようとする少女だった。
が、当時は今よりも痩せすぎがよしとされかったため、問答無用に病気と見なされ、病