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こえわずらい!

 毎年 春になると、私は「こえわずらい」になる。
いえいえ、「恋わずらい」ではなく「声わずらい!」
80歳にもなると、「恋」どころでないのが 本音だ。

 今年は 花粉が多かった。黄砂もすごかった!
「中国でふる雨が少なかったから…」と、ニュースは報じるが、年々歳々 花粉症の人口がおおくなり、政府もやっと重い腰をあげた。
しかし 花粉症は「杉」だけではない。私は「桧」の花粉症なのだ。

 もともと、私は30歳後半に シェーグレン医師が見つけた膠原病の 「シェーグレン症候群」という病名をいただいた。
何やら「原因不明の病」は すべて「膠原病」の仲間に入るらしい。     膠原病には沢山の病気があるが、その中でも一番軽いのが この「シェーグレン症候群」で、年齢を重ねた女性は90%この症状が出ると言う。

 関西のおばちゃんたちは「飴ちゃん」が入っている袋を持っていて、お近づきになった時のおしるしとして又仲良し同志「飴」を交換し合う風習が あるが、この風習には シェーグレン症候群の「ドライマウス」と 関連し ているのではないか?と 私は思う。
おばあさんになって「しわがれ声」になるのもそうに違いない。
 私は 30代にこの症状が出たので、病名が付いたのだろう。
年齢がいってからでは「病名」はつかないのだから…

 この病気は 甲状腺ホルモンが関係していて、ホルモンが多いと「バセドウ氏病」になり、ホルモンが少ないと「橋本病」と言われ、いずれも「病を発見した医師の名」がつけらている。
「バセドウ氏病」は「橋本病」より難病だ。
「橋本病」は ホルモン低下なので、「薬でホルモンを補える」
自分の補う薬の分量を見つけるまでは 大変だったが…
私は「橋本病」の方で、自己免疫力の低下、ドライアイやドライマウスの症状が出て、進行すると胃液や胆汁など体内の大切な分泌液が出なくなるという。最終的には嚥下の問題にも影響を及ぼし、誤嚥性肺炎が起こることにもつながるという。

 今までにやって来たあらゆる手段で、自然療法やヘルストロンそして還元水素水に至っては 病状の改善を見られた。
もう50年近く この病と付き合ってきて 年齢が症状を進ませたこともあるのだろう。
「ドライマウス」は いつものことで 飴やガムそして水筒ははずせない。唾液が少ないと虫歯になりやすく、気を付けていてもエナメル質のすり減りかたが大になり、歯医者さん通いも頻繁になる。春になると 乾燥やほこりで「声が出なくなる」つまり「こえわづらい」になるのだ。
最近ではPM2.5の化学物質も混ざっているから、天気予報でも言うようになった。
 
 2020年に娘を「多発性骨髄腫」で見送って、三回忌が済んだ頃から 声が枯れて来た。これは一人生活であまり声を使うことがなくなったんだ!と、自覚したので「これではいけません!」と アクティブに動き始めることにした。
 まずは「発声練習」からと3月下旬に体験教室を受けて4月から月一回の「ボーカル教室」に申し込んだ。
そして、高校時代の音楽部の同窓会(6月中旬)を企画した。
ボランティア活動もはじまり、ご近所さんとの交流も活発になった。
ところが、ある時声が急に出なくなったので慌てて 耳鼻科に駆け込んだ。

「あなた 全然しゃべらなかったでしょ?この症状は【声帯萎縮】です」
ファイバースコープを入れての映像を見ながら 耳鼻科の先生に言われて
私は キョトンとしていた。
それで、思い当たることを かいつまんで 先生の耳元でささやくことになったのだが、話を聞き終わると先生は
「声帯は薄い筋肉で成り立ってるので、使わないとどんどん筋肉が硬くなって声が出なくなりますよ。けど、急に大きな声はいけません。歌は勿論ダメです。歌などで本格的に発声の指導してる先生もおりますが、今はそうですなあ、小さな声で朗読なんかがいいですよ。少しづつ初めてください。」 それが一年前だった。

 今年 同じことを繰り返す先生だったが、
「話すことが出来れば いいでしょ? ああ、吸入器なんかはいいんですがねえ。とにかく、小声でがんばってください」
と言われ、家の台所の天袋にしまい込んでいる吸入器を 思い出していた。

 年々歳々、こんな症状がひどくなるのでは 困ったもんだ!
けど、どうして?
よくよく考えてみると 思い当たることが幾つかあった。
それは、ご近所さんも同窓会の人も「年齢が80歳以上」で「耳の遠い人が多い」それに「比較的人数が多い」
これは 困ったもんだ!
その中でも 補聴器を付けてくれている人は 案外少ない。
なぜかといえば、
「メガネ」と「マスク」をしていると 補聴器がすぐ外れる
補聴器は値が張る(そこそこのものは雑音が入る)
という理由で つけない人が多い。
だから、マスクをしていると尚更のこと、私の声が聞き取れず「ええ?」と聞き返され、いっそうドラ声で話さなければいけないことになるのだ。

 私の好きな春の季節が こんな理由で一番つらい季節になってしまった。
   残念! 無念!
健康に気を付け、身体も気持ちも若いはずのに…
この「こえわずらい」を 解ってくれる人は 少ないと思う。
ちゃんと説明すれば別だが 説明するのにも「声」がいるからだ。


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