昨日までの風景(4)
☆高齢者のサロン再び開催
コロナ禍、すべての行事が中止になっていたのが この11月からぼちぼち開催される。この地区の高齢者サロン「なごみ」も11月26日バッチリ!「蜜」にならないように!と、一回で集まるところを午前と午後に分けてやることになったという。
私は今まで高齢者ボランティアとして参加させてもらっている。が、今年は自治会の役が回って来たので、自主的に「福祉委員」にしてもらう。 だって、人も役の向き不向きがある。わが自治会は何もかも抽選だったので今まで、転勤してきて3年目に「会長」を引いてしまったことがあった。 その時は夫も元気だったし、まだ区長制度があったので随分区長さんに助けてもらった。540軒ある自治会で役員・班長合わせて44名の人の前で話すことは無理だったので、そこは夫がやり 私はもっぱら細々とした雑事を こなすことにした。あの当時はお葬式が多かった。区長さんの次に自治会長がお焼香をすることになっていたので、お陰様でお葬式に参列する礼儀を覚えることが出来た。次に「防火防犯」が2回あたったけど、自分には向いていないように思えた。同じやるなら!と、手を挙げて出願したら、他の役も皆さん各々自分のやりたい役に手を挙げられて、あっという間に決まって お開きになった。今まで、役を決める抽選日はなかなか時間がかかったというのに…
「なごみ」のリーダーさんは本当におっとりした柔和なお人だ。けれど、話に聞くと、最初一人で「なごみ」を立ち上げたというツワモノなのだ。 若いボランティアさんに交じり、高齢者の私は「私が出来る範囲でお手伝いさせてもらう」ことにしている。取り分け、娘の闘病生活で2年程お休みした後なので皆さんに随分やさしくしていただいているような気がする。
久しぶりの活動にリーダーさんの判断を歪めてはいけない。ましてや私は久しぶりの参加なのだから… 「お手伝いすることがあったら、言ってくださね」を繰り返すしかない。すると、リーダーさんからメールが来た。
「先日はご近所さんの出席を確認してくださって、大変ありがとうございました。そして一昨日は早速封筒をポストに返還していただきありがとうございました。留守にしていて、すみません。又よろしくお願いいたします」
「ご丁寧にメールをありがとうございます。当日1時に00さんと行くだけでいいのでしょうか?なにかお手伝いがあれば言ってくださいね」と返信した。
そして数日後、ヘルメット姿のリーダーさんが訪ねてこられて
「今、駅の方に『なごみ』でお出しするお菓子を探しに行ったんですが、ちょっといいこんなお菓子があったものですから買ってきてしまったんです。味見をしていただけませんか?」とのこと。
差し出された指先にこげ茶色のちいさなお菓子包みがあった。
「あら~、いいんですか?」これはきっと、栗がはいっているな!と思いつつ手を出して受け取っていた。
「ごちそうさまです。この感想をメールで送りますね」
「お願いします」と言って、リーダーさんは バイクのエンジンをかけた。
「リーダーさん、今頂いたお菓子を仏壇に『リーダーさんからいただきましたよ。召し上がれ』ってお供えして、しばらくして 今 いただきました。
柔らかさといい甘さといい最高です。栗の甘さが程よく残り、こんな小さなお菓子なのに驚きます。リーダーさんは美味しいお菓子を探す名人ですね。 『なごみ』で、もう一度いただけるなんて冥利につきます。ごちそうさまでした。そしてありがとうございました」
返信はすぐに来た。
「ひとりでは決めかねるので、##さん(私)に背中を押していただけると、前に進めます。本当にありがとうございます」
私はうれしかった。
心を込めて返信を打った
「こちらこそありがとう♡」