立山山行の記録
先日、立山へスノーハイキングに行ってきました。
久しぶりの遠征。
久しぶりの北アルプス。
圧倒的な刺激を注入されました。
やはり刺激とは「未体験」である。
それを体感できました。
「未体験」には失敗がつきものです。
つまり失敗が多ければ多いほど「未体験」つまり「刺激」の量が多いといえます。
そういった意味でもとても「刺激」の多かった立山山行の記録です。
出発
深夜1時に迎えに来てもらい扇沢へ出発。
あまり車内では寝れないタチですが、さすがに不眠はまずいととにかく目をつむります。
意識があるのかないのか夢現のなか気づくと外が明るんでおり6時頃扇沢へ到着。
実は、本来富山側の立山駅からケーブルとバスに乗り継いで室堂に行く予定でしたが予約がいっぱいで急遽扇沢からのルートに変更したのです。
ですがこれはこれで初体験なのでよし。
扇沢からはバス→ケーブル→ロープウェイ→バスと乗り継ぎが多く、ですが途中黒部ダムを経由したりロープウェイから北アルプスの山々を眺めたりと徐々に気持ちを高めてくれます。
室堂~浄土山
そしていよいよ室堂に到着。
とにかく海外の観光客のツアーが多くおそらく8割ほど。
あと1.5割がバックカントリーの方で純粋なハイカーは0.5割ほどだったと思います。
まずは浄土山を目指します。
雪質はやや水分を含み、しかし昨夜が吹雪だったようで新雪も混ざりフワシャビといったところ。
この時点で足元の装備はアイゼン未装着で簡易的なワカンのみ。
しかしいざ浄土山へ登りはじめるとかなり急勾配かつ岩が露出ししかもトレースもない為いよいよここでクランポンとアックスを装備しました。
今回は4人パーティーで内1名はバックカントリーなので展望台で別れ浄土山に向かったのは3名。
その中で1番経験値の少ないハイカーの装備がスノーシューのみで急勾配との相性はすこぶる悪く圧倒的に出遅れていました。
そこで自分が履いていた簡易ワカンを貸してスノーシューを自分が担いで登ったのですが結果これが過荷重でのちのちのアクシデントにつながります。
それはまた後ほど。
浄土山~一ノ越(アクシデント①)
とにかく無事浄土山へ到着し、そのまま龍王岳との分岐まで縦走します。
ここで先ほどまでの晴天が嘘のように突如ホワイトアウトし強風にみまわれました。
同時に自身初となるナイフリッジと呼ばれる左右が切り立った尾根歩きへ突入。
ですが、ここに関しては思ったより恐怖感もなければ刺激もなかったというのが正直なところです。
そうしている間に龍王岳と一ノ越の分岐へ到着。
自分たちが目指すのは立山三山がひとつ雄山でそこへ行くには一ノ越を経由します。
しばらく進むと晴れ間がのぞきはじめ同時に眼前に圧倒的迫力の雄山が登場。
そこでしばし写真タイムと休憩、そしてもろもろ装備の見直しをし出発。
とここでアクシデント。
一ノ越に到着する手前で左足で踏みぬきをしてしまい(※これはよくありますよね)そのまま圧雪されて左足が全く抜けなくなったのです。
本当に全くです。
自分は最後尾だったので先頭の2名は気づかず進みます。
焦りと不安、怒りの感情が折り重なった不思議な感情でした。
とにかく脱出しなければ。
ピッケルで周辺の雪を掘ったり力任せに足を引っこ抜こうとしても全く抜ける気配がありません。
5分ほど悪戦苦闘したのち何とか靴から足だけ抜く事に成功。
あとは埋没した靴を両手で引っこ抜き事なきを得ました。
今まで体験した事がないアクシデントでこれはこれでネタになるのでよかったです。
一ノ越~雄山(アクシデント②)
いよいよ本日のハイライトである雄山へむけて最後の急登を登ります。
ゴツゴツと岩が露出しているものの浄土山と違ってしっかりトラバースがあるので登りやすいです。
更に振り返った時の息をのむほどの絶景が気持ちと身体を癒してくれます。
とここでアクシデント②が起きます。
呼吸が浅い。
身体が重い。
すぐに疲弊する。
この症状、かつて乗鞍岳と富士山で味わった事がある。
高山病…か。
そこまで重度ではないが明らかにペースが鈍ってきた。
確かに思い当たる節はいくつかある。
寝不足。
約5ヶ月ぶりの高山。
あと先ほど挙げた過荷重。
つまりザックが重すぎる事。
それらが折り重なり高山病めいた症状の発症に至ったのだろう。
とはいえそこまで深刻な状態ではなく標準タイムそこそこで雄山山頂へ到着。
雄山~室堂(アクシデント③④)
山頂は誰もおらず圧巻のパノラマビューを独占。
遠く針ノ木岳や槍ヶ岳、穂高連峰など名だたる明峰が連なる特等席を満喫しました。
そんなひとときにもタイムリミットがやってきます。
バスの最終便の時間が迫ってきました。
とはいえこの時点でまだ14時50分ほど。
最終便は16時30分。
1時間40分ある。
十分間に合うと判断しつつも余裕をもって下山開始。
一ノ越までは相変わらず岩が露出した急下りの為安全に降ります。
しかし一ノ越から室堂へは雪質もほどよくやわらかく障害物のない大雪原です。
ここでタイムを稼ごうと一気に駆け降ります。
何ならシリセードで滑り降ります。
とここでアクシデント③です。
スマホがない。
一気に顔面蒼白。
確実にシリセードの時に落とした。
振り返り滑走してきた道をしばし眺め再び登るのか…と絶望する。
この絶望は3つの意味をはらんでいる。
再び登る体力への懸念、バスの時間に間に合うのかという懸念、スマホが見つからなかったらどうしようという懸念。
なかば錯乱状態で滑り降りてきた道を登り返す。
先頭の2人は快調に下山している。
焦る。
しかし。
すぐ見つかった。
7、8歩登ったところに落ちていた。
安堵した。
この時点で15時30分を回ったところ。
あと1時間を切っているとはいえもうホテル立山は見えている。
問題ないだろう。
しかしすぐさま次の絶望が襲ってきた。
ふみぬき地獄である。
一ノ越から下りきってあとはホテル立山まで特に勾配のない雪原を歩いて行くだけだがズボ雪のため一歩一歩すねまで埋まります。
進みが遅い。
バスの時間が迫る。
焦る。
しかしスピードを上げる体力もない。
コツコツ進むしかない。
しかし思ったよりこの区間のストロークが長い。
ホテル立山はもう見えているのになかなか着かない。
ですが永遠にも思えたこの時間にもいよいよ終わりがやってきた。
16時15分、到着。
ギリギリといえばギリギリだが様々なアクシデントを考えればむしろ完璧なタイムマネジメントではないだろうか。
とここで最後のアクシデント④が起こる。
財布がない。
ザックの中にいつもしまっている場所にない。
バス最終便まで残り10分を切る。
もし乗り遅れたならば明日の始発まで駅構内で待機、もしくは夜通し歩いて下山か。
何にせよ明日の仕事には間に合いそうにない。
ザックの中身を全て地面にぶちまける。
ない。
残り5分、終わった。
その時、後輩が一言。
「そのケースに入れてなかったですか?」
記憶が甦る。
確かなくさないように“いつもと違う”場所に入れたのだった。
あった。
残り3分、何とか最終便に乗り無事扇沢へ帰還する事ができました。
まとめ
とにかくアクシデントも含めて刺激にまみれた山行でやはり「未体験」を定期的に体験し刺激の注入をする事が人生において最も大事だと再確認しました。
写真も200枚近く撮りましたがほぼ全てがハイライト。
唯一懸念があるとするならば最高峰の刺激を浴びすぎた事で次なる刺激へのハードルが上がってしまった事。
ですが日本にはまだまだ魅力的な山が多くかつ季節は移ろい夏山シーズンがやってきます。
東北、四国、北海道、そして雲ノ平。
未開の地に想いを馳せ計画的に“時間”と“お金”を確保しよう。
まずは6月の四国に向けて。
ギアリスト
メリノロンティー260g/㎡(icebreaker)
ボアフリース(RIDGEMOUNTAINGEAR)
レインジャケット(GOLDWIN)
ウインターハイクパンツ(山と道)
S3K(TheNorthFace)
メリノソックス(HIKERTRUSH)
サングラス(SUNSKI)
メリノ手袋(mont-bell)
クリマプロ手袋(mont-bell)
THREE(山と道)
ダウンジャケット(TrailBum)
ダウンパンツ(TheNorthFace)
メリノスウェット(RIDGEMOUNTAINGEAR)
ワカン(MAGICMOUNTAIN)
10本爪クランポン(エバニュー)
トレッキングポール(gossamergear)
アックス(BlackDiamond)
防水手袋(TheNorthFace)
メリノロフトミトン(icebreaker)
替メリノソックス(HIKERTRUSH)
ヘッドライト(BlackDiamond)
ULクックセット(TOAKS)
ファーストエイドキット
スマホ予備充電池
水1500ml
シリアルバー
ラムネ
チップスター
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