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旧司法試験 憲法 平成4年度 第1問__

問題

 A市は、市営汚⽔処理場建設について地元住⺠の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭りを通じて鎮守様として親しまれ、地元住⺠多数が⽒⼦となっている神社(宗教法⼈)境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、⼯事費⽤として100万円を⽀出した。なお、この神社の社殿に隣接する社務所は、平素から地区住⺠の集会場としても使⽤されていた。
 A市の右の措置について、憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。

関連条文等

憲法
20条(第3章 国民の権利及び義務):信教の自由(政教分離原則)
89条(第7章 財政):公の財産の支出又は利用の制限

一言で何の問題か

政教分離原則と目的効果基準(世俗的目的 and 宗教的意義)

答案の筋

市が主観的に政策的な意図を有していても、多額の⾦銭が⽀出されていることから、客観的には当該⾏為の⽬的は宗教的意義を有している。
また、社務所が地区住⺠のために使⽤されることもあったとはいえ、原則としては神社の宗教的活動のために使⽤されるものであり、参道⾃体についても住⺠が集会を開催するうえで不可⽋ではない。さらに、前述した100万円という額の観点からも当該⾏為の効果は、神社に対する援助、助⻑、促進になると言えるため、政教分離原則、すなわち89条前段に反し、違憲である。

答案構成

1 89条前段に反しないか
2(1) 20条3項ふくめて政教分離規定は、国家と宗教の分離を制度として規定することにより、間接的に信教の⾃由を保障しようとしたが実際上不可能
(2)規範(目的効果基準)
(3)当てはめ(⽬的と効果)
3 違憲


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