物思いのよるに
無駄に急いてしまうときがある。やりたいこととか、願望とか、そういったものを一刻も早く達成しないと気がついたら年を取ってしまうのではないかと。
急がば回れというもはや常套句レベルのことわざが示すようにきっと焦ったり急いたりするのは良くなんだろうなということは気がついているのだけれど、なかなかどうして、それでも無意味(ではないと信じたい)な焦燥に駆られるときはあるもので、それが若さ故の過ちなのか、俺が元々そういう性分なのかはわからない。
まあ結局、人は「自分」という枠内でしか生きていけないので――いや、だからこそ好きにすべきだと思うし、心の風が凪ぐ方へ歩んでいけばいいと思う。そういう意味では時折急いてしまう心も許せるというか、まあそれはそれでいいじゃないかという気もしてきた感じはある。
と同時にこの文を書いていて「これ俺の願望なのでは?」と思ってきた。いやホントそれな。
まったく夜の帳が下りるとこういうことを考えるいとまを脳みそに与えてしまうな。でも夜は好きだけどね。特に暗闇だけに限定して出没する皮膚を撫でるような冷風も好きだし、それに光を放つ小さな星々と、緩やかに水の星を巡る衛星である月とが空に姿を表すと尚のこと夜の風情が際立ってみえるのもなお良い。
それらが心中に安寧をもたらしてくれる夜だからな、やっぱり嫌いにはなれないな。
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