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発達障害を「自己受容」できれば、夫婦愛の道が拓く

運命の「破壊と再生記念日」ー 自己受容の始まり

2024年2月19日は、僕たち夫婦にとって「破壊と再生記念日」と呼ぶべき運命の日でした。その日、僕は自分の不甲斐なさに押しつぶされ、人生を終わらせる選択をしました。しかし、未遂に終わり、翌日警察が安否確認に来たことで目が覚めました。その時の記憶は全くなく、どこで何をしていたのかすら分かりませんでした。

しかし、この事件を境に、僕は劇的に変わりました。これまで自分の中に存在し続けていた「悪い自分」だけが消え、初めて自己受容ができるようになったのです。どんなにネガティブな感情も受け入れ、それを恥じることなくさらけ出すことができるようになりました。そして「僕の趣味は妻」という、生涯を通じて楽しめるゴールを見つけた瞬間、僕の人生の意味が大きく変わったのです。

二人きりの結婚生活 ー 究極の幸せとその後の孤独

第一子が生まれる前の1年間は、妻にとっても僕にとっても特別な時期でした。妻は僕のことを「とても優しく、私好みの性格だった」と言います。僕は彼女のわがままを受け入れ、どんなに些細なことでも謝ることで、二人きりの結婚生活を楽しんでいました。妻を独占できるという幸せを、これ以上ない形で味わっていたのです。

しかし、長男が生まれると僕の態度は一変しました。仕事に籠もるようになり、妻と息子を放っておくことが多くなりました。息子の泣き声すら邪魔に感じていた僕は、妻に孤独を与え、家庭を顧みない夫、そして父親として失敗していたのです。日々の生活の支払いも自転車操業状態で、自営の僕が追い詰められていく中、妻も孤独感に苛まれ、家庭の歯車が狂い始めていました。

14年続けた仕事の挫折 ー 発達障害と向き合う決意

第二子が生まれる前、僕は自営が上手くいかず、元業界のトップ企業に就職を決めました。家族を支え、父親としての背中を見せるという決意のもと、契約社員として大企業で働き始めたものの、結果はうまくいきませんでした。同僚と同じペースで仕事をこなせず、コミュニケーションを取りづらくなっていく僕は、次第に追い詰められ、精神的に限界を迎えていきました。

毎朝出社前が憂鬱で、妻に泣きついていました。6年連れ添った妻は精神疾患に詳しく、僕の日頃の状況をみて「ADHDじゃないか?」と助言してくれたのをきっかけに、半信半疑で精神科を受診。検査を受けた結果、案の定ADHDと診断されました。39歳の夏の出来事でした。

自分の中ではショックはあったものの、妻からあらかじめ言われたので、心がザワつくものがありつつ、診断時にはそこまで衝撃はありませんでした。仕事は相変わらず続けていましたが、ある日、会社の休憩室でこらえきれず涙を流したこともあり「ボディーブローのように後からじわじわ効いてくるんだなぁ」と現実逃避気味に。1年の契約満了をもって、僕の一度きりの大企業における会社員生活は終わりました。

うつ病と戦いながら主夫の仮面を被る日々

退職後、僕はうつ病に苦しみながらも、家族のために主夫としての役割を果たすことになりました。もともと一流企業に勤めていた僕は、社会的な期待に応え続けてきましたが、突然そのレールから外れたことで自分が何者なのか、何をすべきなのか迷う日々が始まりました。薬の副作用や体調不良に悩まされ、再就職や起業の選択肢を考えつつも、行動に移せない自分に苛立ちを感じることもありました。

そんな中で、主夫として子どもたちの保育園の送迎をこなし、外からの視線を感じるたびに「自分は社会に必要とされていない」と痛感する瞬間が何度もありました。特に、周囲の親たちの目は、働いていないことを疑問視しているように感じられ、僕の心を刺しました。家庭ではうつの影響で情緒不安定な日々が続き、アルコール依存も加わり、妻に多大な負担をかけることに。時には自分の不甲斐なさから離婚を叫んだこともありましたが、妻は離婚は最良の方法ではないと、最後まで見守り続けてくれました。

自己受容と再起、家族の絆が生んだ新たな挑戦

長い間、うつ病と闘ってきた僕は、次第に自己受容を学び始め、少しずつ自分を取り戻していきました。自己受容とは、できない自分や弱い自分を許し、認めること。それを学んだことで、自分を責めることが少なくなり、自然と再起への道が見えてきたのです。

その過程で、妻との関係も変わりました。僕が自己受容できるようになったことで、妻も自分を語るようになり、お互いに素直に向き合うことができるようになりました。結果として、家族の絆はさらに強まり、今では再び起業に挑戦し、家族の支えのもとで新たな人生を歩んでいます。僕がうつ病から立ち直り、家族とともに前進している今、同じように悩んでいる人にも希望を持ってほしいと強く感じています。

まとめ:自己受容と夫婦愛の道 ー 一緒に歩むことで得られる未来

発達障害と向き合う上で、最も大切なのは「自己受容」です。自分のネガティブな部分を含め、ありのままの自分を受け入れることが、夫婦愛を再構築する第一歩となります。

当事者である僕も辛いですが、それ以上に妻も苦しんできました。しかし、別居や離婚という選択肢ではなく、僕たちは夫婦で困難を乗り越え、愛の道を歩むことを選びました。愛の道は、痛みを伴うこともありますが、その先にある喜びは何にも代えがたいものです。

僕の経験を通じて伝えたいことは、自己受容とパートナーの支えが、どんな困難にも立ち向かう力を与えてくれるということです。うつ病や心の病を抱えながら生きるのは決して簡単ではありませんが、できない自分もありのまま受け入れ、支えてくれる人たちの存在に感謝することで、少しずつ前に進むことができるはずです。

もし今、孤独や絶望を感じているなら、まずは自分を許し、そして大切な人との絆を再確認してください。それが、再び立ち上がるための一歩に必ずなります。

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