お正月休みは、「本」という主食を食べに食べたのです。
2019年はまとまったお休みが取れなかったので、
積み本が3山できていました。へたに触ると崩れちゃうやつです。
本を読みたいと思う欲は、食欲に似ているとおもう。
読みたいときに、読みたいものを読むべし
なので、本を用意してから読むまでに時間が経ってしまうと、「読欲」が薄れていたりすることも。
ありませんか?あんなに食べたかった牛丼が口にできないまま1週間も経てばそれほどでもなくなった、というような体験。
なので、1冊めは重要。
手に取りやすく、「読」が進むような本を。
つくづくTwitterってすごいな、と思うのは
なんとこの1冊めのツイートをナガオカケンメイ氏ご本人が見つけてくださり、コメントとRTをくださいました。
お正月早々、大興奮のできごと。
私のような一介の地方在住フリーライターは、まさかそんなことが起こるなんて、思いもしないわけです。
端的にさらり、と感想を書いてしまったけど
そっけなかったかしら。でもでも、「もしかしたらご本人の目に留まるかも」なんて作為をもってツイートし始めたら、いやらしいと思うんですよね。だからいいかな、このままの私で。自己完結。
とらえどころのないような。それでいて、要所要所で心をつかまれる。
きっと読むたび ちがうところでちがうことを思うのだろうな。
そんな気がします。
ずいぶん前に買って、3分の1ぐらいまで読み進んでいたのに。
2019年後半は仕事が怒涛のようで。
そのため、長らくストップしていました。
ことばって大切だな。
実感したことをできる限り
思ったそのままに伝えたいなら、ことばをたくさん使えるようになった方が良い。私はそうなりたい。
ことばをたくさん集めて、感性を磨きたい。
「ナラティブ」って。
いくらネットで解説文を読んでも、腑に落ちなかったのです。
うーん わかるようなわからないような。
著者は冒頭でナラティブの2つの意味を挙げて、「この本ではこちらの意味で使いますよー」と明らかにしてくださっている。
そして、本の目的がナラティブの解説ではなく「ナラティブをツールとして」どうやってわかりあえない人どうしがコミュニケーションの橋を架けていくか が本題。
ですから、説明が丁寧だしわかりやすい。
これであなたもナラティブ使いになれる。ちがうか。
ほんとうに、2019年は函館の「消失」が加速した年に感じました。
知人が去り、素敵な店が閉店し、古い建築物が壊されていく。
これは私ひとりを中心にした世界の話なのかもしれないけれど、それにしても多すぎるように感じました。
寂しかった。
だから、この本を買いました。
残された人の役目は、記憶していることに他ならないから。
なくなってしまったものも、なくならないでほしいものも
この目で確かめておきたい。
東畑開人さんの本は、「野の医者は笑う」を既読で
一昨年かな。
ちなみに一昨年読んで 人生観の変わった本ベスト3の1冊でした。
この3冊で、私が人生で疑問に感じ続けてきた 「こころ」のことがすこし分かりました。ほんのすこし、見えたというか。
「マインドコントロール」「セラピスト」「野の医者は笑う」
脱線しましたが、東畑開人さんのお話。読みやすさは「野の医者…」の方が上ですけど、職業的に助けになる方は多いのではないかしら。ケアとセラピーのちがい、ケアの重要性。
私はインタビューを通して人さまのお話を聞くことが多いけど、「話してくれた人にもなにか良い出来事として残ればいいな」なんて、甘ったるいことを考えるのはよそうと思いました。
人のこころの話だ。
そんな生半可な気持ちで、踏み込むものじゃない。
こちらも、買ってから そして読み始めてからだいぶ時間が経ってしまっていました。でも、ページをめくると貴重な古い紙の遺産がこれでもかこれでもかと出てくるのですよ。そんなに急いでぱくぱく食べるものじゃないと思いませんか?
「月とコーヒー」はそれなりに厚みもあるのでどうしようかなぁ、とためらったのですけど
結局買ってしまった。
眠る前に読むことを考えてつくられた作品だそうで。
隅々まで、やさしさが行き渡った本。
ちょっと不思議なのだけど、ああ わかるわかる。とうなづきながら読む感じ。
わたくし、印象に残った本や記事のフレーズを手帳にかきとめておく習性があります。
この一冊からも、付箋をしておいて翌日丁寧に書き写しました。
病気や死
ひとが目をそらしたいもの
それをまっすぐに問い、答えたひとがいる
ふたりの学者が交わしたことばは ぴしり、ぴしりと誰しものこころに潜んでいる 見えない場所の「 」(鍵括弧)にはまります。
はまりこんではじめて、
あぁ わたしのこころの中には
こんな空洞があったんだな、と気づかされるような。
ここまでで9冊。
実は、お休み最後の日に、10冊めに手をつけました。
でも、やはり急いでほおばるような本ではない。
だからゆっくり読もう。味わっていこう。
そう思っています。