連作「がたんごとん」
「ゆにここ」での石川美南さんの連作講座「ゆめみがち短歌教室」(2022.9〜12月)の課題として、連作をつくりました。
夏に訪問した「生きるための道具と詩歌 がたんごとん」さんでのことを、思い出しながら。
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『がたんごとん』 鈴木精良
記憶とはこぼれるしずく 海沿いの鉄路の窓は無邪気にひかる
のりかえのホームで待てどひとけなく時刻の谷にひらくこすもす
十七番塩谷ゆきぽつりバス停の心細さの点(とも)るつまさき
ーー「生きるための道具と詩歌 がたんごとん」が小樽の塩谷に移転してから、初めての訪問。店主の吉田夫妻。夫の吉田慎司さんは中津箒をつくる職人だ。山積みの詩歌の本と、箒が隣りあう。
鳥だったころの雲路(くもじ)をかたりだす片隅にいきる〈ははき〉の風は
紐解きのゆびのあそんで『忘却のための試論』に花翳のよう
一冊の扉のむこう眩しさにだれも生まれた朝をしらない
手をふれば錆びたホームの花ざかりことばの蜜に蜂がまとわる
がたんごとんがたんごとんと揺れるたび無人駅から夏、終わりゆく
生きるための道具と詩歌 がたんごとん
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