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⑧ 長年の呪いが解け、やっと人生が動き出したっぽい笛美。

前回、「日本型雇用」システムの長所と短所を知り、女性にかけられた呪いの存在に気づいた笛美。


●日本にも気づいている女性はいた!

帰国した私は、日本のジェンダー差別について、
だれかと話をしたいと思いました。
日本人に言うのは怖かったので、
外国人に言ってみたりしました。

外国人や外国に興味のある女性は、
日本のジェンダー意識の低さに、
問題意識を持っているようでした。

でも多くの人は興味を持っていないだろうな、
と思っていました。
(なぜなら自分がそうだったからです。)

ある日、仕事でツイッターを
使うことがありました。

そこで初めて、大勢の日本人の女性が、
自分の苦悩をツイート
していることを
知りました。

#うちのインティライミとか
びっくりしました。

私が昔ねたんでいた、
「結婚・出産をして
女性の幸せを叶えた人」たちも
女性に期待される過剰な役割や、
理解のないパートナーに対し、
人知れず悩んでいることも知りました。

82年生まれ キムジヨン
私たちには言葉が必要だ
を読みました。

西欧諸国は
日本の先を行き過ぎているような
気がしましたが、
(日本が遅れ過ぎてるのか・・・)
韓国は同じ儒教圏ということもあって、
共感できる部分が多いと思いました。

日常生活では、どんな仕事がしたいか、
どんな相手と付き合いたいか、
遠慮せずに希望し、口に出すことにしました。

NOも出来る範囲で言えるようになりました。

無理してセクハラ的発言にほほえむことも、
できるだけしないようになりました。

私はひとりの人間なんだと
忘れないよう意識しています。

男性社会で私より上の地位の男性も
男性社会で別の役割を演じている女性も
私と別のセクシャリティを持つ人も
尊重されるべき1人の人間なんだと。

年甲斐もなく何やってんだとか、
自分を責める声がたまに聞こえます。

例の男性社会の生んだ幻想、
ダブル時限爆弾ですね。

でもダブル時限爆弾を
不安に思っても思わなくても、
結果はそんなに変わらない。

だったら自分が毎日を快適に
過ごせる方がマシだなと
いまは思っています。

恋愛は諦めていましたが、
新しい出会いもいくつかありました。

自分を男性としても女性としても
不良品だと思っていた20代に比べたら、
いまの私は幸せだと自信を持って言えます。


●最後の大反省会 

ここまで読んでくださり、
ありがとうございます。

私は専業主婦の奥さんのいる
男性を前提とした社会に疑問をいだかず、
彼らと同じように
がんばっていれば報われると思い、
自分の希望やキャリアや人生を
ちゃんと考えていませんでした。

自分をケアすることを怠り、
自分を抑えこみ、
職場以外のコミュニティから孤立し、
長時間働くという武器を
手放すことができませんでした。

女性かくあるべしという呪いに疑問を持たず
まんまと溺れていってしまいました。

そして自分より「女性の幸せ」を叶えてそうな人を憎んだりしました。

その女性嫌悪は、
女性である私自身に跳ね返ってきて、
あるときから心が自由に動かなくなりました。

もしも男性中心社会というものが
当たり前ではなく、
日本のジェンダークオリティが世界的に
見ても低いと知っていたら。

外国にはジェンダーや年齢によって、
人を縛らない価値観があると知っていたら。

女性だから女らしくなきゃ
いけないという価値観が、
女性から自立心や自尊心を奪うことがあると
知っていたら。

女性にとって生きやすい社会を、
私たちの声で作っていけると知っていたら。

きっと私の20代は
違ったものになっていたと思います。

どうかあなたが、
私とは違う景色が見られますように。

そして「なんかこれっておかしくない?」と、
女性も男性も
気軽に言いあえる社会になりますように。