【食品衛生管理の基礎】
1. 食品衛生の現状
・WHOが示す「食品をより安全にするための5つの鍵」
① 清潔に保つ
② 生の食品と加熱済みの食品を分ける
③ よく加熱する
④ 安全な温度に保つ
⑤ 安全な水と原材料を使う
2. 食品衛生の考え方
・食中毒を防ぐ主なポイント
① 原材料の受け入れ、下処理管理
→未加熱で用いる食材は次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌してすすぎ洗いする。
② 加熱調理の管理
→中心部を75℃以上で1分以上加熱、ノロウイルス対策は85~90℃で90秒以上
③ 二次汚染防止
④ 温度と時間の管理(TT管理)
→10~60℃の時間帯(危険温度帯:デンジャーゾーン)を最小限に抑える。TT管理が必要な食品をTCS食品
・ハザード(危険要因)
① 生物的ハザード:微生物、寄生虫など
→芽胞形細菌(バチルス属、クロストリジウム属など):耐熱性があり、感想や消毒剤にも強い耐性
芽胞が発芽しないように温度管理が重要、乾燥状態では180℃20分、湿熱状態では121℃で15~20分
→芽胞非形細菌(無芽胞菌)エタノールや通常加熱で十分
※食品中の自由水を減らすことが大事(水分活性=自由水/(自由水+結合水)Awが0.5以下で微生物は増殖できない)
(結合水:結合に使われている水は微生物も使えない。)
② 化学的ハザード:アレルギー、洗浄剤など
③ 物理的ハザード:金属片、ガラス片など
ゾーニング(衛生レベルに基づいた区画を設けて、異なる汚染レベルの混在を防ぐ方策)の徹底
→3つの構え:敵を知る、敵に備える、敵と戦う
・リスク:食品中にハザードが存在する結果として生じる健康への悪影響の確率と程度
・食中毒の予防4原則
つけない(生の食品を扱った器具は、未加熱でそのまま食べる食品:RTE食品に触れないようにする)
増やさない:10℃以下or65℃以上で保存
殺す:中心部までしっかり加熱
持ち込まない
・原材料に関するハザード情報を得る方法
→リストプロファイル:食品の安全性に関する問題及びその背景を記述(特性、曝露、健康への悪影響)
→ファクトシート:科学的知見に基づくハザードごとの概要書
・洗浄:汚れの除去、微生物の減少、消毒効果を高める目的
→物理的作用、界面活性作用、科学的作用の組み合わせで洗浄
・食品工場で使用される一般的な洗浄剤
① 中性洗剤(食品由来の汚れ)界面活性剤
② アルカリ洗浄剤(油やたんぱく質)アルカリ塩類、キレート剤、界面活性剤
③ 酸性洗浄剤(スケール成分)クエン酸、硝酸などの無機酸
④ 石鹸;界面活性剤
・殺菌剤:濃度、温度、時間の3点で効果が変わる。
エタノール、次亜塩素酸ナトリウム(50~200ppm程度に希釈)、逆性石鹸(塩化ベルザルコニウム)
・加熱殺菌
① 低温殺菌
60~65℃で長時間(牛乳だと63℃で30分間加熱殺菌)
② 高温殺菌(100℃以上)
・レトルト殺菌(高温、高圧)120℃、30~60分が一般的(
105~115℃はセミレトルト、130℃以上はハイレトルト)
・ハードル理論
加熱、冷蔵保存、pH,保存料の添加など「微生物の生育を抑制する要因や手段」をそれぞれハードルに見立て考える理論。(複数の環境要因を組み合わせることで、備瀬物の増殖を抑制し、食品の総合的な保存効果を向上させる。)
3. HACCP認証(ISO22000)
ハザードについて予防的に発生を管理し、科学的根拠に基づいて防止できる。
・導入に向けた7原則12手順(⑥から7原則)
⓪取り組み品目の決定
① HACCPチームの編成
② 製品説明書の作成
→アレルギー物資の記入その詳細情報
③ 意図する用途および対象となる消費者の確認
④ 製造工程図(フローダイアグラム)の作成
⑤ 製造工程図の現場確認
⑥ ハザード分析の実施
⑦ 重要管理点(CCP)の決定
⑧ 管理基準(CL)の設定
⑨ モニタリング方法の設定
⑩ 改善措置の設定
⑪ 検証方法の設定
⑫ 記録と保存方法の設定
4. 食品衛生法(一般管理衛生管理に関すること)
食品衛生のハザードの発生を抑制するため、衛生管理計画の作成、手順書の作成、衛生管理の実施状況の記録、保存、
① 食品生成責任者等の専任
② 施設の衛生管理
③ 設備等の衛生管理
④ 使用水等の管理
⑤ ネズミおよび昆虫対策
⑥ 廃棄物及び排水の取り扱い
⑦ 食品または添加物を取り扱うものの衛生管理
⑧ 検食の実施
⑨ 情報の提供
⑩ 回収・廃棄
⑪ 運搬
⑫ 販売
⑬ 教育訓練
⑭ その他
5. 食品衛生の活動
・4M変化点管理
Man(人)、Machine(機械)、Material(原材料)、Method(方法)について変化が生じた場合、品質トラブルが発生しやすい
・3H
初めて、変更、久しぶり:ミスや失敗が起きやすい傾向がある
※4Mと3Hを上手く組み合わせ異常を発見する