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2020年5月の記事一覧
ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.4
Ⅶ 五日目。やっぱりヒツジのおかげで、ちっちゃな王子さまの人生の秘密がもうひとつ明らかになった。
王子さまが何の前ぶれもなく唐突に、それまでじっとだまって考え込んでいたことについてぼくに質問してきたんだ。
「ヒツジがさ、小さな木を食べるんだとしたら、もしかして花も食べる?」
「そりゃそうだよ。ヒツジはぶつかったものをなんだって食べちまうよ」
「トゲがある花でも?」
「ああ。トゲがある花だって同じ
ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.5
Ⅷ それからすぐに、ぼくは王子さまが言っていた「花」についてくわしく知ることになった。
ちっちゃな王子さまの星にもともとあったのは花びらが一重だけのシンプルな花だけで、だれのじゃまになることもなくひっそりと咲いていた。朝に花を咲かせたと思ったら夜には枯れてしまう、ささやかな花たちだ。
ところが、ある日どこからともなく種がひとつ飛んできて、王子さまの星で芽を出した。ちっちゃな王子さまは、他のどん
ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.6
Ⅸ あの子は、自分の星から逃げ出すのに、渡り鳥の「渡り」を利用したんだ。
出発すると決めた日の朝、王子さまは最後の「星の身支度」をした。まずは火山をきれいに掃除して、すすを払った。あの子の星にはふたつの火山があって、朝食を暖めるのにとても便利だったんだ。
それからもうひとつ、死火山もあった。もうずっと噴火していない死火山だけど、それもちゃんときれいにした。「だって、いつどうなるかわからないか
ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.7
Ⅹ 自分の星を離れた王子さまは、小惑星325と326、327、328、329、それから330の、あいだのあたりに来ていた。
そこであの子は、こう思いついたんだ。
これらの星をひとつひとつ訪れてみよう。そうしたら、これから自分がやるべきことが見つかるかもしれないし、なにか新しいことを学べるかもしれない。
なにせ家を飛び出してきたばかりのあの子には今、行くあてもやることもなかったから。
最初
ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.8
Ⅺ ふたつめの星に住んでいたのは、ひとりの「ナルシスト」だった。
「おおっと! 俺様のファンがやってきたな!」
ちっちゃな王子さまを見つけて、遠くからナルシストが叫んだ。
彼にとっては自分以外の人間はみんな、彼のファンなんだ。
「こんにちは。変わった帽子をかぶってるんですね」
「これは俺様の決めポーズのための帽子さ」
声をかけた王子さまに、ナルシストが答える。
「だれかに見せてやるためのもの