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土地を継ぐ家⑨ 設備の計画

建築を計画するときに設備関係の計画は言うまでもなくとても重要になる。この家では小さい家だからこそ、できる設備計画を心掛けた室外機専用の場所をプランの中心に設けて、そこを使いこなすことを考えた。


設備スペースを集中させる

室外機を置く場所は1か所に集中させ、外から見えにくいようにしている。室外機が外に見えていることを避けたかった、室外機が外に見えているのは性能が同じだけれど見た目に気を使っていないような印象を受ける。まるで同じ性能のダウンジャケットを着ているけれど、一方は例えばゴワゴワで見た目が悪く、一方はすっきりとした見た目の印象であるような印象をもつ。さらに言うと見た目がいいし、性能もいいようなコンパクトなプランであるからこその利点を発揮するようなことも考えられる。
室外機置き場が外にある場合は配管を外に出さないように隠したくなるが、今回のようにそのためのスペースを設ければ配管が見えていても別にいいかと思える。

建物の換気について

専門家であれば当然ですし、最近は色々と調べている方も多いと思うのですが、建物は「換気」が必要になります。換気とは簡単に言うと建物内の空気を入れ替えることで、住宅の居室の場合、2時間に1回は全ての空気が入れ替わることが建築基準法で定められています。そして居室は24時間ずっと換気をする必要があります。これはホルムアルデヒドなどの有害物質が室内に滞留することを避けるためです。人間が吐く二酸化炭素やの匂いなども排出するので、室内環境の維持のために換気はとても重要になります。
しかし、空調で冷やしたり暖めた空気を排出することになるので空調としてはもったいないことをしなくてはいけません、そこで換気と空調の工夫が必要になります。今回は第3種換気という住宅によく使われる方式を採用しています。これは排気口にファンを用いて給気口に自然給気口を設ける方式です。この方式は外の熱がそのまま室内に入り、室内の熱がそのまま外に出てしまいます。
全熱交換機という建物からの熱の排出を少なくする機械を導入するということも考えられますが、今回は費用対効果とメンテナンスの省力化のため採用していません。また吸収する熱と排出する熱を少なくする第1種換気のシステムの導入も考えましたが換気と給気の流れが入れ替わることがデメリットになるように思ったので、今回は不採用になりました。

換気とエアコンの位置

小さな家で間仕切りをなくしているので、エアコンは1台で空調する計画にしていて、全体に効かせられるように家の中心としています。ここで室外機置き場を中心付近に持ってきたことが効いていて、エアコン位置と室外機置き場が近いので配管の長さが短くなります。
エアコンの位置と給気口を近い位置にしています。これにより、給気された外気がすぐ給気されるように考えていて、冷たい空気や暖かい空気が部屋に循環しないようにしたいと考えています。
さらに排気口の位置ですが、排気口はトイレやお風呂に設ける住宅は多いように思います。しかし、今回建物の端である玄関と寝室に排気口を設けています。これには2つ理由があり、1つは中心から給気して端部から排気することで建物全体を換気するためです。これにより給気口付近で空調された空気を換気の流れにのせて室内全体に行き渡らせることもできると考えました。2つめは玄関付近に排気口を設けるためです。今回のプランは玄関と居室が続きになっているので匂いの問題があります。玄関に排気を取ることで匂いの問題を解消したいと考えました。

住みながら試したい

室外機置き場を設けることはプランとの整合がうまくいかないとなかなか出来ないので、どんな家でも絶対にやるべきだとは思っていない。エアコンの1台運用についても自分の家で試してみようという気持ちである、これでうまくいけば自信を持って提案できると思う、うまくいくために建物の性能と比較して必要なエアコン容量も検討しているので、うまくいくと思っているのだが。今回トライしていること自分が住むことで今後の設計にフィードバックしたいと考えている。

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