美術家から学ぶマネジメントは、マネジメントされる人たちの想いを柔らかく包んでいました[チーム編 #3]
実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?
【チーム編】は、チームをあずかるすべてのマネジャーに向けて書かれており、ドラッカー教授のチームマネジメントの極意が1冊に凝縮されています。
人とともに働くということは人を育成することを意味する。この育成の方向づけが、人としても資源としても、彼らが生産的な存在となるか非生産的な存在となるかを左右する。このことは、マネジメントされる者だけでなくマネジメントする者にもいえる。
『現代の経営(下)』第Ⅴ部 経営管理者であることの意味
第27章 優れた経営管理者の要件 p220より
先日テレビで知った、NY美術家 松山智一さんが思い浮かびました。
「19年住んでいるけど、いまだにニューヨークは居心地が悪い」
そこまでして、その地にこだわるのか……と不思議に思いますが、突き詰める人の目指す道はその地から先に長く伸びているんでしょうね。
芸術家って、一人で悶々と悩んで、一人で作品と向き合い、昼夜がわからなくなるような生活をしているイメージがありました。
でも松山さんは、日々のルーティンで自分を整え、スタッフを抱えてチームで活動されています。
10人ほどの若者が、松山さんのもとで腕を磨きながらチャンスをつかむことを目指していました。
たまたま日本でのプロジェクトのため凱旋帰国の最中、新型ウイルスの拡大によりニューヨークのスタジオに戻ることが叶わず、スタッフとのやり取りもオンラインに限られる中、33枚のキャンパス群で構成された作品を作り上げ、さらに芸術最先端の地、上海での個展開催にこぎつけました。
チャンスをつかむ準備をしていたからこそ美術館のキャンセルにも飛び込めてしまう、それを可能にしている理由の1つが、スタッフの育成ではないかと感じました。
スタッフさんは、それぞれ芸術家としての独り立ちを目指しています。
・毎日時間を確保して、芸術家を目指すスタッフさんの心構えから整える手助けをする。
・自分を整えることにも手を抜かない。
・自粛期間中、心身ともにしんどい中で、作品と向き合うためのフォローをする
・指導もするけれど、スタッフさんと一緒に作業ができることの喜びを、スタッフさんとも共有する。
画面から窺うことのできない心配りは、もっともっとスタッフさんを大きく柔らかく包んでいるのでしょう。
作業分析もチームで活動するために必須です。
一つの作品の大きさや形状によって違いはあっても、工程はほぼ同じ。工程ごとにかかった時間を測って記録し分析することで、チームメンバーの安定的な収入を提供する経営者でもありました。
もちろん、自分がデザインの根源です。
湧きだすものを形にするために、言葉で書き起こす作業から成果品にするまで、道のりは明確でなければチームでの作業に落とし込むこともできません。
つくりたいものを成果品を通して見せるだけでなく、作業分析をしているがゆえに相手に伝え手助けを求めるというステップを踏める、だからこそ生み出せる芸術もあるように感じました。
アートとビジネスの関係において、アートにおける相乗効果もあるのかもしれませんね
独学で、食べられない日々を覚えているし、頭に拳銃を突き付けられた経験もすべて含めて、俯瞰し分析し、生きていくための芸術を体現されているように感じました。
役割が適切かわかりませんが、アートディレクターであり、プロデューサーであり、トップマネジメントであり、チームコンダクターであり、プレゼンターであり、アーティストである。
でもそこを支えているのは、家族やチームスタッフで、彼ら彼女らがいるからこそ何役もこなせるのではないでしょうか。
人と関わることによる相乗効果を、孤高の存在だと思っていた美術家の方から学びました。
今年のNHK大河ドラマは、渋沢栄一を主人公に、今の日本の礎がどのように築かれたかを見ていくのだと思いますが、少し時代をさかのぼります。
『ドラッカーに先駆けた江戸商人の思想』 (平田雅彦 著 日経BP)
ドラッカー先生は、日本人の中で、福沢諭吉、渋沢栄一、岩崎弥太郎に注目されていました。
江戸から明治の大転換期に活躍された方々のおかげで今があるのですが、商人文化が発達したのは江戸時代。
決して商人にとって居心地の良い時代ではなかったけれど、その時代をたくましく生き抜いてきた商人の思想は、現代にも通じるものがあります。
丁稚奉公がどんな仕組みかよく知りませんでしたが、将来の社会を担う若者を小僧の頃から大切に預かって、商売のいろはを教えてくれる研修制度だったんですね。
努力すれば、身分関係なしに重要な役割が与えられ、自らの行為により社会に対してどのようにして良い貢献を行うかを考え行動する基礎を身に着けていきました。
当時は貸方を生業にしているところもあり、武家にお金を貸していたのに、お上の方針により踏み倒されて倒産する会社もあったという、苦しい時代だったようです。
現代のように、社会状況がよくないところで、どうすれば自分の身を立て、いかにして社会に貢献できるかを考えるお手本になると思います。
自分たちの生業をもって、いかに社会に貢献するかを考える江戸の商人の思想、格好良いです♪
松山さんの作品は、上海の美術館のコレクションになりました。
そうした売買が成立するからこそ、美術家の方は次の作品をつくることができるのですが、作品と対峙できる機会はこの先得られるのかな……なんて勝手に寂しい想いを感じていました。
高額で取引されるからこそ、次の作品が生まれる楽しみを得られるけれど、芸術が資産家にしか触れることのできない高尚なものに高められてしまい、庶民は触れる機会も失われる気がします。
アート作品から得られるエネルギーは、何物にも代えがたいものがあります。
正直、わかりません(≧▽≦) 説明なんてできません。
でも、わたしにだけ宿る感覚はあります。
もっと身近になったらいいな、と思っています。
人を育成するということに、どのようなイメージを持っていますか?
そこにコントロールという一面が加味されてはいませんか?
コントロールしようと考えてしまうと、相手を道具としてみることになり、非生産的な存在に貶めます。
生産的な存在にどのようなイメージがありますか?
生産的な存在になるための道筋は見えていますか?
その道筋を整えるため、後押しするため、あなたは何をしますか?
成長した彼ら彼女らはどのような表情をしているでしょう(#^^#)
『実践するドラッカー【チーム編】』
chapter1 チームで働くということーチーム作りとマネジャーの仕事 p4
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