「AIの壁」を突破するアウトリーチとは（月刊風テラス：2022年10月号）
こんにちは。NPO法人風テラス理事長の坂爪です。
10月は、約半年ぶりに月間相談者数が200人を超え、風テラスの相談受付の現場は、全国から寄せられるご相談への対応、そして食料支援の発送で、毎日てんてこまいの状況です。
「にいがた夜食便」を一緒に実施している新潟県フードバンク連絡協議会の担当者の方とお話したところ、フードバンクでも生活困窮に関するご相談が増えている状況とのこと。
こういった状況、コロナの感染拡大が収まった後も、おそらく数年間はつづくのだろうな・・・と感じております。支援体制を盤石にするためにも、引き続き組織基盤と財務基盤の整備を頑張らねば・・・！と思いを新たにしました。
それでは、10月の活動報告です。
【10月の活動報告】Ad Grantsアウトリーチ伴走プログラム
この秋から、NPO法人OVAさんが主催されている「Ad Grantsアウトリーチ伴走プログラム」に参加させて頂いております。
NPOなどの非営利組織が毎月100万円まで無料で広告を打てる「Google Ad Grants」を活用したアウトリーチで、これまでアプローチできなかった層に風テラスを知って頂き、ご相談につなげることを目標にしています。
Ad Grantsの活用方法を、無料で手取り足取り、超親切に教えてくださるOVAのスタッフの皆様には、足を向けて寝られません・・・！（大感謝）
このAd Grants、登録までの作業がなかなか、というか、非常に、というか、死ぬほど厄介で、数日で終わるはずの申請作業に、3ヶ月以上かかりました。
「登録のための登録」が必要だったり、分からない部分をGoogleに問い合わせしても、セキュリティやらコンプライアンスやらプライバシーポリシーやらで「問い合わせのための問い合わせ」や「問い合わせに必要な条件を証明するための問い合わせ」が必要になるという無限ループに陥り、「うぬぬぅ、AIでは埒が明かぬわ！」と有人チャット窓口に問い合わせても、AI以上にAIっぽい回答が返ってくるだけという地獄。
何度も心が折れかけたのですが、OVAさんの励ましもあり、奇跡的に登録することができました。2022年で一番うれしかった出来事かもしません。
私がGoogle音痴なだけかもしれませんが、これって日本社会の近未来のような気がするんですよね。
人口減と人員削減で、行政や福祉の窓口がどんどんAI化・自動化されていって、困っている人が相談しても、セキュリティやらコンプライアンスやらプライバシーポリシーやらで、そもそも最初のログインや本人確認がうまくできず、受付の段階でAIに弾かれて、話を聞いてもらうことすらできず終了、となってしまう。
実際、（SNSの広告はどこも昔からそうですが・・）Google広告も「風俗」というワードが入っていると、審査に引っかかって掲載されません。風俗店の広告だけでなく、風俗の世界で困っている人たちを支援する私達のようなNPOの広告ですら、「風俗というワードが入っているからダメ」という超杓子定規な理由で、自動的に弾かれてしまいます。
AIによって浄化・不可視化されたネットの世界、その中で孤立・困窮している人たちに、どうやって支援を届けていくか、というのは、まさに福祉の最前線、ホットなトピックだと思います。
風俗業界も、かつては行政や警察による「浄化作戦」によって店舗型風俗（無届の違法店）が壊滅する、ということがありましたが、令和の時代では「AIによる浄化作戦」で、合法的に営業している店舗や媒体が突然死するリスクがあると思います。
国による法規制や差別の結果ではなく、企業による自主規制の結果生じる問題なので、対策が非常に難しい。果たしてどうするべきか。
11月27日（日）に2年半ぶり（！）に池袋で開催する夜職サミットでも、この話題を取り上げる予定です。
個人的にはAd Grantsに登録できただけでミッション・コンプリート！という気分なのですが、ここからがアウトリーチのスタートなので、引き続きOVAさんにお世話になりながら、Google広告のややこしい管理画面と不親切な専門用語の嵐、そして「AIの壁」と格闘していきたいと思います。
【11月の課題と目標】インターンと寄付、引き続き大募集中
１．年内に、助成金をまず１件通す！
助成金、順調に連敗記録更新中でして、先月は赤い羽根と丸紅基金が不採択でした（涙）。
「まだあわてるような時間じゃない」と脳内で仙道さんも諭してくれているので、ここは悠然と構えて、まずは助成金を一本通す！ことを目標にして、コツコツ書類づくりと申請作業に励んでいきたいと思います。
「ここに応募したらどうか」「ここがおすすめだよ」「うちの団体が関わっている財団が募集しているよ」といった情報、ご存じの方は、事務局（info@futeras.org）までお知らせ頂けると嬉しいです。
２．年内に、学生インターンをもう１～２名増やす！
学生インターン、先日都内の大学生の方からご応募をいただきました！ありがとうございます～。
学生時代の貴重な時間を風テラスに投資してくださる学生さんの期待に応えられるよう、働く側にとっても魅力的なNPOになれるよう、精進いたします。
学生インターン、もう１～２名、参加してくださると嬉しいな！と思っております。数あるNPOの中でも屈指のハードな現場ですが、我こそはと思う方は、ぜひご応募ください。
１２月には、３日（土）に風俗福祉基礎研修、１７日（土）にSNS相談基礎研修を開催します。これらの研修でも風テラスの現場の雰囲気をつかんで頂けると思いますので、応募しようかどうか迷っている方、まずは研修からご参加いただく形でもOKです。
３．ふ～サポを１８０名に増やす！
マンスリーサポーター「ふ～サポ」、現在１５１名の方にご支援頂いております。今年中に、あと２９名の方のご支援をいただくこと＝１８０名を目標にしております。
「ふ～サポ」の人数が２００～３００名になりますと、より攻めたアプローチや、より多くの人に支援を届けるプロジェクトを開始できるようになるので、ぜひ！皆様の温かいご支援をお待ちしております。
４．１１月８日（火）の「女の子たちの６０分フリー」を満席にする！
毎月好評開催中の風俗女子のためのオンライントークスペース「女の子たちの６０分フリー」、今月は１１月８日（火）２０時から開催いたします。
お仕事の話だけでなく、プライベートでのモヤモヤや不安などもお話頂いてOKです。
まだ残席がございますので、以下のページをご覧の上、お気軽にお申し込みください。新規の方はもちろん、リピーターの方も大歓迎です。
５．１１月２７日（日）のサミットを満席にする！
サミット２年半ぶりのリアル開催ということで、コロナになってからお会いできていなかった皆様に会場でお会いできると嬉しいな・・・と願っております。
「風俗業界の生き字引」であるゲストの生駒明さんともお話できる貴重な機会なので、『フーゾクの現代史』を読み込んで、ぜひ会場で生駒さんを質問攻めにして頂けるとありがたいです。
11月27日（日）、池袋でお会いしましょう！
⇒お申し込みはこちら
それでは、今月も風テラスをよろしくお願いいたします。
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