見出し画像

中国で食材と戯る。(36) トコブシ

私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント  


” 鲍鱼 bao yu バオユュ "

 中国では、鮑とトコブシを呼び分けていない。どちらも” 鲍鱼 "としている。
世界中のあれこれ、違う種も学名的な呼び分けがあるとして、国内に出回っているのはこの、養殖トコブシである。
20年間、中国を見てきたが、常に近所の菜場(ツァイチャン)=市場でも活けが取り扱われていた。

 トコブシの特徴として大きさが” アワビ "ほど大きくならない。大きくてせいぜい7〜8cm程。アワビより浅い海におり、貝殻の呼吸排泄孔の穴の数に違いが。
複数の穴は成長と共に、閉じていくようだが、アワビは4、5個穴が開き、トコブシは6個以上開いているという。
穴の周りが火山口のように隆起しているのがアワビ、フラットなのがトコブシだとも言われる。

 写真で見ると、穴がやや隆起しており、身の雰囲気もアワビのような風格がある。世界にはいろんな品種の鮑がいて一概に言えないものもあるのだろうか。

それでも、穴の空いている数は6、7個。
そして生で食すとある程度、食感に歯応えはあるが、アワビのようなコリっとした食感とは程遠い。これをもってトコブシと認識する。
養殖の技術の進化からか、2010年代後半からは大きめ(5〜7cm)のものも多くなってきていたが。。。

 これは、家で刺身か。
中腸腺を外し、嘴を取って身を塩で揉み洗いする。大きめでも一つ200円ぐらい。


トコブシの水貝

 氷水に微量の塩、昆布と一緒に。日本料理の手法。


トコブシのバター炒め

 写真は粉打ちして炒めたもの。
特に粉打ち無しでもバターなら味は乗り、美味しく食べれる。


トコブシの地獄焼き

 酷( むご )い感じもあるが、食とは本来 酷いもの。醤油を少量。


焼き上がり。

 大振りなものが出回るようになってからは、刺身ネタが少ない時にいつでも追加できる便利な食材となりました。


                                以上

いいなと思ったら応援しよう!