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中国で食材と戯る。(47) オーストラリア産 黒毛和牛

私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント     


" 澳大利亚产黑毛和牛 ao da li ya chan hei mao he jiu "

 中国産の牛肉は、” 黄牛 huang niu ホァンニュウ " 、と呼ばれる毛が黄土色した褐毛牛が多く肉質は赤身質のもの。脂肪分がサシとなって入るタイプではない。
日本人にしてみれば、痩せた硬い肉だと感じる。
筋がかんだ部位であれば、一定時間の加熱において柔らかく加工が可能だが、脂のない赤身は火を入れただけパサつき硬くなる。

 中国の人たちは、そういう肉質の牛を極薄切りにしたシャブシャブ、炒め物などは切り身にした後に酒、調味料などの揉みダレに漬け込んで食感を柔らかに仕上げることになる。

鶏や豚などは、加熱調理の工夫で食感に幅が出るが、中国の牛肉に関してだけは、硬く味わう、或いは柔らかく本来の素材の味・食感もないようなモノの二択。

結局、中国にある日本料理店は牛肉メニューにおいて、ピンキリだが中国国外からのどこかしらの輸入肉を選択することが常識的であった。

 風天も創業から、日本食店向けの食材を扱う業者が運んでくれるカナダ、アメリカ産のアンガス牛を使用してきた。輸入モノにして価格も高すぎず、肉の風味、品質が悪くなかったのだが、コロナ問題の発生から、営業スタイルを変えた私は、牛肉をオーストラリア産の黒毛和牛に変えることにした。(日本では、日本の和牛に由来する、もしくはそこからの交配種であっても国外で育成したものを” 和牛 "とは呼ばない、表示しないことになっている)

中国でもとうに黒毛の和牛種を育て販売していて(私の知るところでは黒龍江省、四川省の2箇所)、肉質、味は中国産の牛肉の中では際立っていたが、オーストラリア産の黒毛和牛の方が肉の風味を良く感じた。

オーストラリア産 黒毛和牛 リブロース


オーストラリア産 黒毛和牛 サーロイン


オーストラリア産 黒毛和牛の牛丼


オーストラリア産 黒毛和牛のコロッケ


オーストラリア産 黒毛和牛の握り


オーストラリア産 黒毛和牛のハンバーグ


 中国はオーストラリア同様に、肉の等級を12段階評価する。
風天で私が扱えたのは、M−9クラスが最高。日本的に表現すると、A-4 から4.5くらいだろうか( 4.5 は気持ち )。Mー9辺りで既に脂が多すぎて好みではない。
オーストラリア産、サシの入りは日本産のようにキメ細かくは無いのは写真にも見えるが、扱える物の中ではかなり上等な方だった。


                                 以上

 ▼ 黒毛牛の餃子を作ったりして。


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