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中国で食材と戯る。(20) 鯖 

( 私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
  ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント 


” ノルウェー鯖 "                                                      2019.7

中国名 " 青花鱼 Qing hua yu チンホァユュ "。
 中国でも漁獲があり、マサバが市場に通年出回っている。しかし、その扱いは一貫して雑であり、売り場に並んでいるその時点でヒスタミン中毒などの警戒が必要な感じ、氷鮮モノは特に小ぶりなモノが多く20cm未満、冷凍用の規格から外れたアウトレット雑魚のような扱いでそのまま流通しているようだ。

 揚げたり、炒めたり、辛い濃い味付けで食してもその青魚のリスクは変わらないのに、何故健康を愛しウンチクの多い中国人が海鮮をそのように扱うかは謎のまま。
そして、それとは別に市場に並ぶ大きさのある30cmクラスは、丸冷凍のモノをそのまま売り場に並べて半解凍状態で買われていく。こちらの方が、安全?まぁ身の歩留まりも良いし、扱われやすいのかも。廉価、庶民の魚である。

中国での日本料理店(広義での)では、メニューのなくてはならない魚の一つ。
皆が冷凍サバを使用。解凍技術、保存の仕方、提供の仕方に差が出るとは言え、一様にある基準のものが使われた。同じ中国産冷凍鯖でも2種類あったのではないだろうか。
 魚はマサバで同じ、中国冷凍サバ、しかし我々日本食の店が扱う冷凍サバと、市場で自然解凍売りしてる鯖には何か違いがあったように思う。冷凍としての在庫鮮度?原料の海域差?わからず仕舞い。業者も輸入モノ、国産(中国)モノ、としか言わない。特に国産モノは表記無し流通もほとんどで厄介だ。

 普段店で使ったのは冷凍ノルウェー (挪威 nuo wei ヌオウェイ )モノ。これは大西洋のサバ。冷凍とはいえ遠くから運ばれても廉価である。上述のサバにほんの少しのコストを上乗せするだけでジューシーな脂の乗ったサバを提供できる。冷凍物で季節感は無く、脂のノリに多少変化があるが安定感している。
日本のサバも70%程、このノルウェー産に頼っているとの記事も見かけた。

余程、質に無頓着か、安価な” 食べ放題店 " のような低コスト重視型でなければノルウェー産を仕入れているだろう。

コロナ禍 店の在庫処理として
自宅で自分メシ。
上半身を筒切りで味噌煮。
下半身を塩焼きで。



” 日本 青森産の鯖 "                                                  2021.8

 コロナ禍において、居酒屋風天は従業員のいない、私一人で営業するカウンター予約客のみの商売へスタイルを変えていた。

来客数よりも、質と単価の向上を整えての " 料理屋 風天 "。
それは、鯖の仕入れにも至る。
仕入れ値は、ノルウェー鯖の1.8〜2倍。” 青森産 日本鯖 "の登場となる。大きさは約30cm程、500g / 尾。
冷凍鮮度はもちろんの事、ジューシーさと脂のノリ、大事なのはその脂の質が違う事。塩を振って焼くだけ….

鯖の塩焼き

  ▼ 焼いただけの” 鯖 ”がこんなにも美しい。
鯖に旨み、香りがあることを再認識できる良い品が手に入りました。


〆鯖

締め鯖を作る。リンゴ酢も少々。
締めた後、少し冷蔵庫で落ち着かせる。
薄皮をめくった状態。

鯖の棒寿司

シャリを棒状に。
箱推しせずに棒寿司の仕上げで。
日本青森産の鯖で 
ええ感じ。

 
 冷凍のノルウェー鯖でも焼き魚用に開きながら、皮目や中の身が格別美しく見えるモノを別に取り置き、締め鯖を作ったことがあったが、脂が多い。
締め鯖があまり好きでない人には、味が脂肪でマイルドに感じること、脂肪が口で溶けるような食感を生むというメリットはあったが本物では無い。


鯖の煮付け

 ノルウェー産でも満足してもらっていたが、これには敵わない。
『 食べれば 必ずわかるほどの差があるから 』、そう言う向上を中国語で語りながら、倍値の日本のサバを売らせていただきました。


                                以上

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