五岳独尊ー山東省 泰山へ。
中国五岳の一つである " 泰山 tai shan タイシャン "へ。
2013年4月30日〜5月2日。二泊三日の小さな旅。
泰山は、” 五岳 " = 東岳 ( 泰山 )、西岳 ( 華山 )、南岳 ( 衝山 )、北岳 ( 恒山 )、中岳 ( 嵩山 )のトップと言われる山岳。
海抜1545m、程よい高さで日頃の運動不足で鈍った体でも登山を楽しめるように思った。
” 岳”の概念だが、古代中国において天に聳え立つ高山を崇拝の対象として” 岳 " と呼んだことに始まる。春秋時代の五行説の興盛期に、” 五 "の概念が加わり、漢代の帝が正式に詔勅を発布して五岳を定めた。時代の移り変わりの中で、一部の山を改めながら、現在の” 五岳 " に至るらしい。
常州に二つある、” 高铁 gao tie ガォティエ "= 新幹線の駅の一つ。常州北駅。
家からそれぞれの駅には車で20分程度、ほぼ同じ距離だったが、この北駅の方が人が少ない。
泰安
天気に恵まれ、絶好の登山となりそうだ。
泰安市550万人都市、常州より人口はいるがだいぶ田舎な感じがある。
この日は既に夕方の到着。泰山区( 人口約60万人地区 )の登山口に近いホテルを宿と決め、翌日に備えることにする。
夕食。登山口の周囲はあまり賑やかではなかったが、ホテルから近い郷土料理屋に入る。山東省だから” 鲁菜 lu cai ルーツァイ "と言われる系列の中華料理。
味が塩っぱめで、量も多い。
中国をあちこち旅して現在記事を着てるが、振り返ってみればここの料理の量がMAXであったと思われる。当時の投稿したWeixin(中国SNS) には、一品が1.5斤=750g 以上と書いていた。気さくな価格の料理だが、量が上海や常州に比べ3倍はあったような。。。
塩っぱい牛肉750g、青い野菜750g、豆腐の汁物750g、ビール600ml (当時中国のビールは基本大瓶) を2本。
2250+1200=3450g。大食い選手権だ。
残すのが嫌いな私は、決死で約3.5kg の食事を一人平らげる。いや、残したか?
記憶が曖昧だが、やたら塩っぱく、硬い赤みと結構脂が多い肉はキツかったと思う。
” 昔の人はこういう食事を楽しんでいたんだろうな ”と、中国の時代劇の食事シーンなんか思い浮かべて食べてたな。確か。
食べ過ぎで寝付けなそうなので、腹ごなしに数キロ歩いて市街へ。人の海。
結構いい時間だが、不夜城=眠らぬ街だこれは。
腹ごなしに歩いて、また飲み始める。屋台の誘惑だな。
ジョッキ?ビーカーだなコレ。常温のビールは当たり前として、水の無い場所、このビーカーどこで洗っているんだと、ふと脇を流れる小さなせせらぎが気になったのは思い出せる。
夜風に当たり、路上で飲むビールは良い。和食の料理人だとか、小さな会社の社長やってるとか、そんなの取っ払って旅先ではいつでも、バックパッカーのようでいたい。この食べ物については語らないが、消費者の感覚を持っているべきだし、その土地の人が笑顔で楽しんでいるものを知りたいと心から思っていた。
これ、本当に山登りの前日だろうか。。。
岱廟
泰山の麓にある廟。登山口に近い。
古代の帝が泰山の神霊を祀る式典を行った場所。北京の故宮などと並んで、中国四大古建築群の一つ。
常州で最初に付き合った女の子が、故郷で結婚すると聞いた。挙式はこの日。
誘われて、式に出席するような大きな?男ではないが、せめて山の神様に彼女の家庭とこれからの人生が幸福であるように祈ろうと思ったっけ。
泰山
1500m級、良いなだらかな傾斜、のはずだが中年には意外と。。。
朝、調達しておいた餃子とコーラを取り出す。
カバンの中が軽くなり、その重量がそのまま体の中に置き換わる。
plus minus 0。
そして、道中に見たことのないビールを発見して+600g 。
ほろ酔いで山を登りきる。いくつもの廟で線香炊いてちゃんとお祈りした。
赤ら顔で、” 君に幸せあれ "。
夜郷土料理、再び。
前日に拡張した胃袋、登山でしっかり運動した体。きっと楽勝で平らげたか。
当時のSNS には何もコメントしていない。。。
黄焖鸡 ホァンムンジー、それは済南のチキンカレー。
帰りは少し違うところから新幹線に乗ろうと思う。
泰安市から泰山を挟んで北隣りにある " 济南 ji nan ジーナン "を目指す。
“ 鲁菜 ルーツァイ "の一つとして食した " 黄焖鸡米饭 huang men ji mi fan "。
” カレーライスだ!"
小さな小さな食堂、早さを売りにしてそうな感じだが、オーダーしてから20分。蓋してガンガン炊き上げました感があるこの料理。2、3cmぐらいに叩いてある鶏肉は、肉がそりかえって縮み、骨から取れそうで取れないところ。ブリッとした弾力が残っており、作り置きではなく鮮度いい鶏を、注文後に炊き始めているのがはっきりわかる。圧をかけて一気に炊いた鶏から出たスープで濃厚な味、土鍋でたいてる米と相性が抜群。
中国にも炒め物や、煮炊きしたものに、複合的な香辛料を使った“ 咖喱味 ga li weiガリーウェイ "= カレー味 は存在するが日本人の思うカレーでは無い。
ところが、こいつは驚くほどにカレーである。多めに入ってる骨付き鶏からでた旨みと野菜、香辛料のバランス。350円ほどの一つの料理が時間かけてその場で炊かれるスタイル、なんて贅沢な。『こんなん、他の都市でも流行るで』って言ってたらその後1、2年で常州も含め、そこら中がフランチャイズ黄焖鸡だらけになった。試したが、一番カレー的バランスで美味しかったのは泰安で食べたコレ。
食べながら、横の札書きを読むと、済南発祥の名物料理とある。ぬかった。
同じ地域だが、これから向かう済南が本場であったとは。。。泰安で食ってもうたやん。
帰路
時間に余裕があり、バス移動することに。泰安→ 済南。
済南駅はかなりの大きなバスターミナル、が、新幹線が無い。
新幹線は” 西駅 ”だ、とまた移動。
ちょっとしたハプニング、それもまた気ままな旅の味のひとつ。。。
以上