見出し画像

中国で食材と戯る。(23) 北海道サンマ

( 私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
  ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント  


” 北海道根室の秋刀魚 "                                                  2018.9

 日本からの輸入海産物を扱う上海の業者に、早めに(3日前くらい) 入荷を確認して予約注文しておけば、日本から着いたその朝一番で発送してくれる。
相手の基地?工場? 会社は上海虹橋空港の近く(取引前に訪問済み)、そこから車でトラック1台、毎日常州まで魚を運ぶ便がある。
 まとまった注文をした時は、常州のそのトラックが停車待機している位置まで車で20分、自分で取りに行けばいい。

 この回は、9月。この年一発目の日本の生サンマ入荷。他の仕入れとタイミング合わず、サンマだけを注文した。
速達の運送チェーンを使っての配送で、上海の業者から直接店までクール便。

いや中国にはクール便はほとんど皆無。商品(魚など) を発泡のケースに詰め、中はフレークアイスだったり、アイスパックだったり、あれこれ保冷対策をそれぞれが行なったものを防水パッキングして普通のタイムリーな速達便に乗せるだけ。

 防水されてさえいれば、他の雑貨、日用品問わず、水分のない荷物類と同じ扱いで物は運ばれる。鮮度に対して運送会社は関与しない。送り主がその距離から、道中に起こりうる可能性をどこまで予測して梱包してくれるかと、受け取りがどこまでタイミングを合わせるかが鍵となる。

受け取り完了。
日本からの梱包そのままに、

氷の塩水に浸っている。
日本からの氷、まだ溶け切ってはいない。
まだ、脂の乗っていないサンマだが
身は厚みがあって美味しそうだ。
常州で北海道ピカピカの秋刀魚の刺身。
大阪で食うより鮮度ええかも。なんて。
当然、握りもイケる。

ふりかなを書くのは、平仮名やカタ仮名を含んだ方が
中国の人にとって、グッと日本らしさを感じるから。
少し、自宅用に分けて。
脂なく、キレイで上品な味。
高価な秋刀魚、生でいかな勿体無いな。

ものが圧倒的に良い。日本の食材。
値段もいいが、中国の常州で北海道の生サンマの刺身と握りー”奇跡に近い” 写真だと思える。常州やでこれ。

 輸入物はたくさんあるし、物流も良くなってきた。だが、日本から送り出す人、運ぶ人、上海で受ける人、送る人、そして自分が受け取って客に提供するまで、どのポイントで問題が起きてもおかしくはない。
日本の品も珍しくは無い、ただ日本のコンディションで受け取ることは難しい

”全てのバトンがきちんと渡されて美しい料理になる。”


 日本では、生産者、仲介者、皆が当たり前にベストを尽くして受け取ったものを料理できる機会に恵まれている、普通と思うレベルが既に良質である。
中国にいると、その間で誰かがサボったり、手を抜いたりしたかわからないモノを扱うことに慣れてしまう。

 国外で余分に高いお金を払って扱う食材、どうせならいつもこんな感動を持って受け取れればいいのだが、と切に思ったのである。。。


                                以上

いいなと思ったら応援しよう!