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中国で食材と戯る。(22) 松茸

( 私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
  ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント  

 ▲ 日本の2023年5月付のニュースだが、これは ”完全な人工栽培” という事でしょうか?
 日本においての松茸は野生するものの天然由来のみの収穫物と書かれた記事も見たことがある。

 もはや、秋に日本で見かける松茸の主産地は中国の独占状態。その脇に控えめに高価な日本産松茸、なんて光景を見るようになって久しい。
中国、韓国、ヨーロッパ、ロシア、カナダ、木の良く育つ自然環境があれば世界中どこにでもあるようだが。独特の香りを”香気”と捉えるのは日本人はじめとするアジア人のセンスであり、それ以外の国では” 臭気 "と捉えることもあるようだ。



" 松茸 "                                                                   2021.9

これは確か吉林省の名産地 長白山もの 8〜10cmの 1級品

<中国の松茸事情>


  中国語も漢字は同じで、 " 松茸 song rong ソン ロン "。
日本と同じ、アカマツ林に生えているのは、北側の吉林省や黒龍江省モノ
その他の名産地、四川省、雲南省、福建省 、はブナ林に発生するらしい。

 どこも、山深く水や空気がキレイで樹木の良く育つ自然環境をイメージしがちだが、アカマツは貧栄養の土地によく生えるようで、同じく貧栄養地を好む松茸菌はそれに伴って共生する。 
アカマツの樹木根と松茸の菌根が繋がり、それぞれが生成する養分を交換して支え合うらしい。 
繊細な” 松茸菌 "は腐葉土などで栄養が恵まれた土地では、良く育つ他種の植物や菌類に負けて生き残れないのだとか。

 中国は随分早くから、松茸の移植、培養促進を行っていて、大量生産の道が開けている様だった。
日本への輸出向けに対応しながらも、地方観光地(景勝地)での特産、郷土料理としての使用に堪え、尚且つ自身の国内市場、家庭向け通販、スーパー販売、一般都市での中華レストランでの使用、と販路は拡張し続けている。
8月が旬で、日本より小ぶりなものも多く、それぞれ規格等級で分けて流通している。香りの良し悪し、当たり外れがあるが、そこそこ楽しめる。(日本モノにはやはり敵わないのだが)

 時々、マツタケオール(松茸の香気成分)注入の香り付けした胡散臭いものもあると聞いたが。どうだろう。
日本の駐在者から、『お土産に買って飛行機で持って帰れるんだ』と聞いたことがある。植物は国外から持ち帰れないけど、”菌類”の松茸はOKと。
時期が日本より早いのと、多少安価ではあるか。。。


” 松茸ご飯 "

  ▲ 松茸ご飯を店で出す時の利便性を考えて作ったもの。
先に出汁と松茸で炊き置いた松茸ご飯を、オーダーごとに温めて茶碗によそうだけでは芸が無いなと。(私はそのシンプルさが好きだが)
松茸ご飯を蒸篭に敷き、大きくスライスした松茸(酒を振り、塩少量)を後載せ、
刻んだギョク鰻蒲焼をのせて蒸し温める。”鰻と薄切りの松茸” がしんなりして全体に香りが上がるのを待って提供。 牛肉の薄切りとの組み合わせもいいかな。

” 松茸の握り "

 松茸はお浸しにしてあるものを使用。

 

” 松茸の蒸篭 "

 酒を振り、塩を軽く。地味でシンプルだが、素材の良さをガツンと味わえる。
質実剛健メニュー。
敢えて大ぶりな松茸貝柱、車海老。。。蒸し上がりを"自家製柑橘酢-醤油"で。

 
 菌類とはいえ、植物防疫のルールで土付きで日本に輸出はしないはずであり、
香りが多少落ちて日本で売られていると思う。
店で扱っていたのは、中国産とはいえ、土付きのもの、それなりに価値のある食材を口にできたんだと、、、

 2014年の夏に、四川省の世界遺産である景勝地、” 九寨溝(きゅうさいこう)"を一人で旅しました。標高3000m級の地で高山病でぐったり気味になりながら、特産の松茸を山盛り頬張った記憶がある。

そんな話はまた、旅の記事にて書ければと思います。        以上


 ▼  旅記事追加しました。

                  

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