24h(ECHO's Work)

ECHO's合作第3弾!!!

今回の企画は「24h」。


24等分のインスピレーション

一日を24等分したら?
そんなこと答えはないし考える必要もないんだけど
でもでもやってしまったそんな今作。

一日を24分割し、一時間ごとに詩を置く。
切り分けた日々の断面から一体どんな言葉が覗く?

→本文←

1

AM0:00
ぱち、音が、みえる。ぱち、音が、みえて、とけた。とけたのが、みえた。とけて、まだ、のこっている。屋根はまだずっと白い。ずっと。でも、なにを隠しているのか、わかっているんだよ。この家がすべって降りていく黒い坂の底、その入口を、瞼の裏から覗き見てた。瞬きを弾かせながら。

2

AM1:00
火燃ゆる桜
滅亡の時だ
ジャストインタイムの習わしは
待ち遠しさを放り投げた

あの赤道直下の
深いジャングルの中で
葉音にかき消されながら
沸々と語り出した

残像以外のきらめきはあるか。
雑音以外の無音がきこえるか。
落ちていく、重力のなかで。

3

AM2:00

誰も見てなさそうな恋愛ドラマが暗闇を照らしている。
令和のモノクロ。ときめかない感情。愛は恋の進化系ってみんな言ってる。

そんなわけないじゃん。

あの光は生命の終わりなの、黄泉の国へと僕らを誘う。
それでもカフェインを手放せない、生に執着したひとびとが落とす鱗粉のせいで、
防護マスクが手放せないね。

4

AM3:00

坂道の合間、横になった頂点。真っ黒な太陽が昇るから確からしい。
零度の眼差しが電気を寝かしつけた。雲が光を遮るみたいな便宜上の眠りを過ぎる僕らの体温を奪う黒い太陽。寝苦しい現実につかの間のやすらぎを。
くもをひらけば、赤い目をした僕。それでもやり残したことは人生ほどあるから、いっせーのーでで待ってられないのだ。
無人乗車の赤道直下幽霊電車
切っ先はインクを伴って、
線路上火花を走らせる。

5

AM4:00

embedded in body
embedded in bed
embedded in the earth

(地球に埋め込まれた布団に埋め込まれた体に埋め込まれている)

それなしには生きれないのは想像の産物
何方道なるようになるのは写経の範疇
堅苦しかったはず。
ふつうは、もう知らん。
依存も孤立も相補的に増えるよ、めきめきと。
混じり気もなく。

6

AM5:00

街が目覚めるころに眠る不健全さを自覚していても夜更かしをやめられないから細胞は永遠に生まれ変わらない、よ、よ、よ。
今日の痛みは次の日にちゃんと引き継がれます。
美しい朝焼けに照らされて流れ星は願いを叶える前に堕ちていく。きみの願いは叶わない。
安心しろ。君が嫌いなアイツの願いも叶わない。はらはらと、散って、月明かりに照らされて、流れ星の欠片が燃え上がる。

7

AM6:00

いつかこっちを向いてくれる
生焼けのアスファルトはあくび
踏んづけて
肉の匂い
距離感がわからないけど
血と知で錆びた鉄の臭い
土の向こうを見透かせられたら
またうつくしいだのないだの
うずたかく積まれたもの
頑張っている
と言われた
火も揺れるね
そうさ
夢の淵から耳を抜けて
やってきたよ

暗い部屋で僕は 僕の首を絞めていた
今朝は早いから
死んでも起きよう

8

AM7:00

やりたいことが
やりたいことの方から遠ざかって
やりたくないことに
やりたくない僕から近づいて

この七転八倒を望んだってなんかもう
絡まった走馬灯くずして待ってんだそう
夜になって思うんだろう無事になったっていうこと
もどかしくて消えるんだよ嫌いになって今日

9

AM8:00

遠ざかる心の音が過去を嘘に塗り替えていく。信じられる心なんてないのに、ぬるい覚悟に添える「絶対」。「嘘つき」は死ぬべきだと思います。
デモの先頭に立って通学路を横断する。
君の鼻は少し長いねって笑い合う小学生は可憐で、僕ら刃物を手にして未練がましいね。
ありがとう、という君に心底あきれてるよ。
し、んだら、いいじゃん、って。

「選択した人生を削除しますか?」

キャンセルが押せないバグを治すためにアップデートすると、データがすべて消える可能性があります。

10

AM9:00

末裔を探している
明るく透過したこの街なら

すれ違う人々が
バケツ一杯の金粉を
煩わしくも必死そうな姿勢で歩いている
同じものを探しているらしい
私は


金粉をまぶし
ぼろぼろになった血肉
骨を咥えて飛び去った
川向うへの餞や
冥府のツアーコンダクター
ではなかった

縋る思いを想う筆致だった
僕は
図書館で辞典を開くと
見たこともない色で

防護マスクを外した

【影】

叫ぶより前に
空いた口から黒い何か
アスファルトに浸潤し
拾えなかった

11

AM10:00

スウィングドアの揺れる間に
差し迫りたい後ろから
ディナイされるなら喋れないです
  
クレームゲームを前に
(Y)

セメント由来の貧しい地平に
剥き出している地下鉄
磁気を辛うじて放っています

片付けなかったカトラリー
(S)

ホワイトヘッドの結び目に沿って蠢くマーカー
ど突くにも追えなくて
仕方なく頬杖ついているのです

それでも生きていけるなら

フェルメール見尽くすまで
(T)

12

AM11:00

致死量の日差しが記憶をまっさらにしてくれる。世界が湿度を含んだころ、弾道ミサイルが流れ星代わりとなって日常になる。
空白があることが素晴らしいことだって教えてくれるのは、密度濃いそれ。
入道雲を睨みつけた。
落ちた汗はアスファルトに吸収されて跡形もない、そうやって回る、今日。
そうやって流れる、弾道ミサイル。

13

AM0:00

分針から分針
離散数の谷間
飛行機雲
奈落を貫く飛び石渡り
二者択一渡っても尚
追いかけた

風車は回り
靴が浮き
数秒前を見下ろす

昼食ラッシュ
コンビニで混雑築く共犯者ども
戻れば一方通行のカンバセーション
打ち損なったらフォローする球拾い

屋上

くゆらせ
凪いだ海は静かに目を開けた
「この瞬間だけ死なないでいられるから」

まだ長い

やがて再び見下ろしたあの子が
送ってくれた1枚の写真

クレバスに咲いていた花

14

PM1:00

浄水器の中は豊かな海自然
薄暗い視界で縦に番いになる2匹は
クレッシェンドする瞼の中から未知の世界を見ていたんだ

僕らといえばその美しい協奏を
静かな斜行エレベータに乗ってファインダー越しに眺めていた

そう人智とはそういうものかもしれない
哀しいかな花を手向けるくらいのこと

◯◯ ◯◯ ◯◯ ◯◯ ◯◯

午後を被弾

猜疑心がやってきた
昨日読みたかった本は今日読みたいとは限らないから
ハイドアンドシークしたいけどそんな洒落たモーメントは働かない
しかし現実はそうはならないという
いけ好かないシャドウボクシングをはじめるとしよう

虐げられた以上の苦行にクラップして
温められた事象のフロウに縋って


15

PM2:00

曖昧に揺れた心が重力に逆らえずにいる。墓標に刻んでください。怯えながら貫いた曖昧さを他の誰かと共有していくほどに実感する気持ちで傷つけたあの人やあの人やあの人。

ずるい人間です。

曖昧に薬指を光らせながら重力に抗って、曖昧に誰かを愛してみる。

きみもずるい人間です。

ベクトルが違ったら愛も愛じゃなくなるかもしれない。それって、愛じゃないんじゃないですか。いやそんなことないですよ。


あなたの愛のベクトルはどこを向いていますか?


16

PM3:00

氷河が
熊でなく
鯖でなく
屈折
した人間
に届こうとしている

足につけた手紙をほどく時
一体何羽辿り着くのだろう と
なんとなく滲んでいた

カラースプレーでマーキングしたがる
壁は母親の匂いがするから
もう仲間を探してやらないといけない
ゾウは嘶く

壁は肌

紅潮も表象もないまま
よく生きていけているなど

殴った壁は肌
破った肌のなけなしの畑
浸潤するコーヒーを注いで


穴の空いた服の縫い目から
僅かな光が漏れている
細やかな画素すら揃ってなければ
人は人のしたいように死ぬ

17

PM4:00

咲き乱れた空に目力をまっすぐに
待たれよバスドラムいびきかいて身籠る
アブストラクト携え駅から駅までほらそこに
誘えよ八分前染みになって見劣る

さっきまでいたあいつは
ふあっと浮き上がって消えた
イラッとなった機嫌は
もやっと棚引いて決めた

すがりな血潮なら藪から棒テノナルホウヘ
すまないな未熟なら

18

PM5:00

夕立に染められたアスファルト
溶けた飴の味が残る感覚が頬を撫でた
艶やかに彩られた世界が好きですか?
踏みしめて息詰まる夜
髪型を変えるのに特に意味がないように
愛を口にすることにも大した意味はないんだよ
雨漏りする、みたいにこぼれる夏の木漏れ日
月が綺麗ですね。
雲に覆われた月の破片を信じて口にする

信じる心なんてとうにないのに。

19

PM6:00

行き交う亡霊 うめく
復元した肋骨を折り続けることにも慣れ
自由席蹴った紙風船の浮遊

赤いチークで化粧して
蝋燭の森は彩りを増すから
酸素を注いで祝おう

実質的公平はシーソー
ロッキングチェアでいがみ合えば
お湯が沸くから頑張って世間

遠くに見えるは
生も死も由来しない
きらめき
赤黒いライトで
現象している
現像の途中

実に多様な太陽のあり方
抜け殻に息を吹き込んで
拮抗してる間に去る
気づかれなければ悲しいし
気づかれてしまったら次回に持ち越し

20

PM7:00

まさか真逆さま
転がり落ちて渦巻いている様
見よう見まねに人意図人
ケロリンにしか出せない湯圧でピシャン

街は真っ只中
貪り朽ちて息巻いているまだ
異論見かねて人井戸人
何故か多い七月のモヒカン

見做した午後は今日の髭だ
僕より長生きしないなら来ないで
コルカタ帰りのあいつも呼ぼう
目の色変えた夜に飛ばそう気球

"Slow Hungers Don't Suit This City"

21

PM8:00

ルールにルーズに淫らに死んで
あたりまえに語り合えるなんて妄想だろ
かろうじて日々、息して、ギリギリ生きてます
チョコレートの甘さが夏を遠ざける
入道雲突き抜ける飛行機が
夕焼け連れてくる
まって、定まって、関わって怯える夜

22

PM9:00


吹き抜けた

時を連れ


空に開いた

月は右回り

伸びる犬の影が太陽の残照を振りまく前に
そろそろ偽らなければ

追憶と影溜りの憩う広場
何一つない車道のことを
表明しようとすると
愛という文字がしぬほどうざい

寝静まる夜の生地に
ワッペン状の祈りを
ひとつ埋めた

23

PM10:00

渡した涙、あぶくになって蒸発した
気紛れの船、海底からサルベージされた
待つことをやめたのも、断ち続けることも
色彩目まぐるしい孤独の花

フライヤーに空いた風穴、否応なく喉を突いて
九段下にランディングした夜の背中には嫌な耳障りだけが残った
言葉から飛び出すこともなければ秘められてもない
何のカタルシスも感じ得ない
いや、語り得ないというそれに至る
わりと静かな未知の湖畔

まずは懇ろ、さり気あれ
混じり気ない嘘に微動だにしないでくれ
肥大した街の灯はカタパルト
赤道上に線を引いて平均台にするようなもの

24

PM23:00

夏の気まぐれに誘われて、あいしてしまったんだ。灰色の心模様に刺す赤。気づいたら溶けてしまうよな。火照る空は照れ隠しのように雨を流した。

たった一瞬にときめきが僕らを正常だと思わせる。きらめく、波、ビル、線路。花火が美しさとともに死を与えていることを知らないうちに感動しとかないとね。

夏に染まりたくなくて、半袖は着ないんだとはにかむから、気づいたら溶けてしまうよな。
愛と恋と、抜け落ちたら何が残るの?何も残らないの?そんなつまらない人間だったのか、諦め滲む蝉の声。最後に言わせてよ。

あいしてしまったから溶けたんだ。


Kotobani、NOISE両氏のリンクはこちら!

NOISE

Kotobani


アフタートーク!!!

豪華二本立て!!

前編

後編

#詩
#echos
#ノイズコトバニクイーカ
#コラボ詩
#24h詩


いいなと思ったら応援しよう!

クイーカ
おかずを一品増やしてください