ポエ文(ぶみ)その14
ガラス造りのキャンディの中を、光の溶液が波打っていた。閃く赤や黄の電気に、中の光も伴って揺れた。最後の一粒と同じく、僕は食べずにとっておくことにした(腐りませんように)。冷凍保存のきかないことを心底悔やみ、時を恨んだ。光源が強すぎて、ガラスの組織に差し障るかもしれないと思い、こちらのフラッシュを焚くのをやめた。くれぐれも、焦がさないように、焼き付ける。かつて蓄えた数多の光が、内側から発光せしめているせいで、もはやまともな地獄を届け得なかっただろうけど、それも含めて芸術に見える。いくつの海を隔てた先にこれの職人がいるのだろう。買い取りたい、所有したい、そう思わせるのは、蒐集家の性か、あるいはもっと単純な回路の本能なのか、わからなかったけど、できることなら一秒一秒を無限に伸ばしてしまいたくて、せめてもの抵抗として、こっそり息を止めてみた。…
その人が話している間、過去、今、未来、どれを向いていたにせよ、その目は僕を映していなかった。
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