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【Q11完結】【Q11.宇都宮LRTの、更にその先へ】7.関東鉄道→守谷→つくばエクスプレス

(前回の記事はこちらです)


関東鉄道常総線で守谷まで

 下館駅南側の、関東鉄道常総線の駅舎は、北側のJRの駅舎と比べて、ずいぶん簡素な造りだ。入る。人は少ない。駅スタンプはないのかと駅員に尋ねると、無いという。残念だ。

 この旅行に出る少し前に、関東鉄道は京成の完全子会社になるという報道がされたが、そのことに言及した掲示物などは、駅構内では特に見かけなかった。

 小雨の降るホームで、発車時刻を待つ車輛を、何枚か撮影する。先頭車両に乗る。車内はロングシートだ。
 11時38分、下館発。カーブを左に曲がり、南に進路を取る。運転席の、運転士の右隣には、ヘルメットと蛍光チョッキを着用した、作業員らしき男が乗り込んでいる。運転士同様に、仁王立ちになって前面展望をほぼ完全に塞いでいる。……移動中は、特に必要もないのに、無理して立ち続けることはないのではないか? 普通に座って足を休めても良いのではないか? むしろ座るべきだ。これじゃ見えないよ。
 常総線は、一駅間の距離が長いなと感じる。下館から一駅目の、大田郷という駅にて、早くも列車交換だ。しばらく待った後、下りの快速とすれ違う。

 茨城の平坦な地形を、何事もなく平和に進んでいく。車道を走る車と、時に併走する。雨のため窓ガラスは曇り、車窓はイマイチ不鮮明だ。
 車窓に、城を模した建物が見える。何だろう? ラブホテルか、テーマパークか?

 晴れていれば、東側の車窓には、遠くに筑波山の姿が見えるはずだったのだろうが、今日は何も見えない。
 12時20分、三妻駅にて、ようやく作業員が降りる。前面展望を見られるようになったが、雨のためにやはり遠景は白く濁っている。昨日乗った、真岡鐡道の前面展望が素晴らしかっただけに、今日のこの天候が惜しまれる。本来の常総線の魅力、本当の茨城県の実力は、この程度ではないのだと思いたい。
 乗客の数は少しずつ増えていく。
 12時27分、中妻にて列車交換。

 12時45分、水海道にてまた列車交換。この時すれ違ったのが、昨日下館にて目撃した、明光義塾のラッピング車輛だ。
 守谷より二つ手前の、小絹という駅付近で席を立ち、前面展望の撮影を試みる。白く濁り、見えるものは限られる。

 進行方向にはやがて、この常総線を跨ぐ巨大構造物が見えてくる。つくばエクスプレスの高架線だ。常総線とつくばエクスプレスは守谷駅で接続しており、常総線のホームは高架下に位置している。入線する時は、まるでトンネルに入るような感覚だ。
 12時56分、守谷着。下館を発車して以来、初めての他路線との乗り換え駅である。降車客が非常に多い。自分もまた下車する。

 去っていく常総線の車輛を見送る。白い異空間に吸い込まれて消えゆくように見える。
 駅舎、改札は階上にある。つくばエクスプレスとの乗り換え駅であるからか、駅舎の造りは非常に大きく、近代的だ。関東鉄道の駅員に尋ねると、ここには駅スタンプもあるという。押す。

守谷にて

 改札を出る。自分の人生において、初めて下車する駅だ。つくばエクスプレス側の駅舎に隣接して、なかなか広いフードコートがある。気温は低く肌寒い。「かつそばや松幸」という店の、かけそばを食べる。

 守谷では、近隣にあるビール工場でも見学しようと思っていたのだが、この寒さに行く気が失せる。ビールを呑みたい気分ではない。駅周辺にはイオンモールがあるが、少し距離がある。雨の中を徒歩で歩くのは気が進まず、これも見送る。

 駅に接続しているペデステトリアンデッキから、周囲を撮影する。高層建築物が建設中だ。おそらくはタワマンだろう。つくばエクスプレスの経済効果は、やはり巨大なものだと思わされる。
 せっかく守谷で降りたのだから、何かしら観光っぽいことをしたい。グーグルマップを見て最も近かった、長龍寺という寺に行ってみることとする。

 正面ではない入口から境内に入る。曹洞宗の寺、つまり禅寺だ。樹木が多く、予想以上に良い。庭も存外に広く、片隅には水琴窟が置かれている。片手で傘を差し、その音に耳を傾ける。

 戦国時代には秀吉から保護を受け、関東入りした家康からは寄進を受けた寺だという解説が境内に掲げられている。建物の一部は、修繕工事をしている。

 出る時は、正面の山門から出る。参道の両側に並ぶ樹々は雨に濡れ、その緑をひときわ濃いものとしている。今日からもう五月なのだなと、ふと思う。

幾つもの川を越えるつくばエクスプレス 

 駅に戻る。つくばエクスプレス側の守谷駅には、スタンプは無いとのことだ。ホームにて、車輛を撮影する。

 14時39分、守谷発。秋葉原行。
 平成時代中期に開業した新路線だけあって、さすがに線形も良く、速い。

 14時42分、利根川を渡り、茨城県を出る。利根川は河川敷を含めるとかなり幅が広く、橋も長い。
 千葉県柏市に入る。車窓には、特に何も無い空地が、しばらく続く。
 柏市、流山市を経て、14時56分頃、江戸川を渡る。千葉県の次は埼玉県だ。

 三郷中央、八潮を通る。つくばエクスプレスが通るまで、八潮市には鉄道駅が全く無かったという。八潮市にはとにかく、昔から治安の悪い自治体というイメージがある。昭和の末期ごろに足立区綾瀬で起きた凶悪犯罪、女子高生コンクリ詰め殺人の、犯人の少年達は、主に八潮近辺で活動していたと聞いている。

 東京都足立区に入る。15時08分、荒川を渡ると、足立区のマンハッタンと呼ばれるエリアだ。ほどなく北千住に着く。守谷からつくばエクスプレスに乗っても、取手から常磐線に乗っても、結局の所ほぼ同じ地点で荒川を渡って北千住に至るのだ。歴史的な宿場町としての貫禄がある。

 15時11分、隅田川を渡る。荒川区に入る。つくばエクスプレスは、これにて主要な河川を全て渡り終え、南千住以降は、終点の秋葉原まで全て地下を走っていく。(完)

つくばエクスプレス渡河地点のGoogleマイマップ(ご覧になりたいレイヤーを選択してください)


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青条
詩的散文・物語性の無い散文を創作・公開しています。何か心に残るものがありましたら、サポート頂けると嬉しいです。