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【Q11.宇都宮LRTの、更にその先へ】5.下館にて同じ過ちを二度繰り返す

(前回の記事はこちらです)


同じ過ちを一日に二度繰り返す

 下館駅には、今乗ってきた真岡鐡道に加え、JR水戸線、関東鉄道常総線の三路線が集まっている。茨城県筑西市の中心地らしく、駅の北側には市役所がある。

 今日はまだ時間がある。どこかに行こう。駅前には、広沢美術館と大書された巨大な広告物があるが、ググってみるとここからはかなり遠い。役所内の観光案内板で、駅からの徒歩圏内に、美術館を二軒見つける。市立美術館と、板谷波山記念館だ。いずれも、駅北口から真っ直ぐに北に伸びるメインストリートを、そのまま進んだ所にある。
 板谷波山は陶芸家。その世界では高名な人なのだと言う。日本の陶芸を近代芸術の域にまで高めた第一人者とのことだ。自分は焼き物に関して何の知識も無いが、とりあえず歩いて行ってみることにする。

 晴れている。真っ直ぐ歩く。下館の街には高層建築物が無く、空に向かって視界が拓けた印象を受ける。川越あたりと似たような感じだ。川越と同様に、下館もかつては舟運の街、河川交通の街であったと言うが、何か理由があるのだろうか。
 波山記念館前に着く。休館日だ。「通常は毎週月曜日が休館日だが、月曜日が祝日の場合は開館し、その翌日火曜日を休館日とする」ルールに、再度やられてしまった。


 「ゲヘヘヘ、悪魔超人は同じ過ちを二度繰り返さない」というのは、マンガ『キン肉マン』中の名セリフだが、自分は、悪魔でも超人でもない、ただの善人に過ぎないので、同じ過ちを一日の間に二度も三度も繰り返す。引き返す途中に覗いた、市立美術館も同様に休館日であった。


 仕方が無いので、何でも良いから近場の名所旧跡っぽいものを、グーグルマップで探す。西側の高台の住宅地エリアに、公園に隣接した社がある。とりあえずそこまで登り、周囲と、高台から見下ろした街全体を撮影する。

 市役所の裏には、超巨大な郊外型ショッピングセンターがある。駐車場もまた広い。市役所の隣にも巨大な立体駐車場があり、筑西市は完全にクルマ社会のようだ。せっかく鉄道が三路線も乗入れ、東西南北全ての方向に通じているのに、少し勿体ないように思えてしまう。

 広大な駐車場の一隅に、昔の蔵らしき建物が残されている。周囲は金網で囲まれているが、歴史的な由緒を記した案内板のようなものは特にない。撮影する。

玉戸のスシローと快活クラブ

 下館駅の南側にはビジネスホテルが何軒かあるが、ネットで値段を調べると、どこも今日は高い。昨日泊まった宇都宮より高いのは、どういうことだと思う。今日中に、都内まで帰ってしまおうかなと、フト思う。
 JR水戸線を小山方面に一駅進んだ、玉戸という駅の近くに快活クラブがある。今夜はそこに泊まることにする。

 帰宅時間帯の水戸線の車内は、通勤・通学客でそれなりに混んでいる。玉戸駅にて下車。駅の南側には、広大な駐車場を擁した、ロードサイド型の商業施設がある。目的の快活クラブも、駅前に所在するというよりも、付近を走る国道50号線のドライバー、ライダーが主要客のようだ。
 ロードサイドのスシローで夕食。自分としては、中々の豪遊だ。都内のスーパーやフードコート内のスシローでは、店の前に行列が出来ているのをしばしば見かけるが、ここでは即時入店できた。入店時はタッチパネルの端末で座席を選ぶ方式で、店内はとにかく広く、席には大分余裕がある。

 注文は全てタブレットで行う。一人回転寿司は楽しいレジャーだが、大抵のメニューは二貫一皿なので、多品目を食べるという点では、胃袋の容量に比して効率が余りよろしくない。可能ならば偶数人数で遊びに来るべきだと思った。
 会計を頼むと、店員がやってきて、皿の枚数を、模様別に数え始めた。妙だ。注文は全て、タブレットを通しているのだから、自動的に精算されているはずではないのか? 最近のチェーン店居酒屋やファミレスは、大抵そのようになっているのだが。皿の枚数を数える様子は、遥か昔に家族と行った、平成時代初期の回転寿司を思い出させる。

 茨城の郷土料理とは全く縁のない夕食であったが、北関東のロードサイドの風景を知ることが出来たので、これはこれで良い。
 快活クラブに入る。いつも私が使っているのは、床面積が広くて椅子が無い、フルフラットシートだ。ただ単に寝るだけなので、椅子は必要ない。
 一番奥の突き当りを曲がって、さらに奥まった所にある、静かな席が当たった。ツイている! よく眠れそうだ!!

下館駅・玉戸駅周辺のGoogleマイマップ(該当のレイヤーをご覧ください。)


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青条
詩的散文・物語性の無い散文を創作・公開しています。何か心に残るものがありましたら、サポート頂けると嬉しいです。