見出し画像

【Q11.宇都宮LRTの、更にその先へ】2.清原地区市民センターから真岡鐡道まで(JRバス関東・清原~市塙線完全乗車)

(前回の記事はこちらです)


清原地区市民センター→真岡鐡道市塙駅


 芳賀町工業団地から更に東に進む公共交通機関は、今の時間帯には存在しないようだ。時刻表を調べ、別の手段を探す。ライトレールを宇都宮市内へ少し戻った所に、別のトランジットセンター「清原地区市民センター」があり、そこからも東に進むバスが出ている。真岡鐡道(もおかてつどう)の市塙(いちはな)という駅まで繋がっている。これに乗ろう。

 上り宇都宮方面のライトレールを待っていると、停留所近くの路肩に自家用車がスッと止まる。車内から素早く女生徒が飛び出して、停留所の方へ駆けてくる。車もまた速やかに去っていく。
 LRTを用いたパークアンドライドは、少しずつ普及しつつあるのではと思った。車を運転して送迎する側としては、LRTの停留所が出来たことによって運転距離が多少なりとも短くなり、負担が軽減される。多額の工事費用を費やし、一級河川鬼怒川を渡る専用橋を新たに架けたことには、それに見合う価値があったのだろう。

 8時09分、芳賀町工業団地管理センター発。上り列車に乗り、来た道を少し戻る。併走する車よりはやや遅く、追い抜かれる場面がある。
 ゆいの杜エリアを抜け、8時22分、清原地区市民センター着。このトランジットセンターにも、バスターミナルがあり、広大な駐車場と駐輪場がある。

 待合室にて少し待つ。目的のバスが来たので乗り込む。私以外にも数人の客がいる。
 最後列左側の窓際に座り、発車を待つ。JRバス関東、市塙行き。8時50分、清原地区市民センター発。発車するタイミングで、ライトラインが駆けてきて車窓に入り込む。

 しばらくの間は、工業地帯の直線的な道を走る。一つ一つの区画が、とにかく広大だ。丘陵地を抜け、長く緩やかな坂を下り、盆地に広がる水田を眺めながら進む。戸建て住宅が点在する。

 このバスは、途中で寄り道し、花王の工場を経由する。朝早かったため、途中車内で居眠りをしてしまう。
 民家の前のバス停で、女性の二人組が降りる。
 交差点から駅方向に向かう。小さな川を越え、9時22分、市塙駅前着。到着時刻が少し遅れたことを、運転手が車内放送で丁寧に詫びていた。

清原地区市民センターから市塙駅までのルート(Googleマイマップより該当のレイヤーをご覧ください)


 

真岡鐡道市塙駅→茂木駅

 真岡鐡道の市塙駅は無人駅だ。市塙と書いて「いちはな」と読む。八角形の小さな駅舎は、お堂のようで何だか可愛らしい。

 駅周辺には、目立つ商業施設は何も見当たらない。先程バスで通った交差点まで歩いて戻ると、付近に幾つか飲食店があるが、今の時間帯はどの店もまだ営業していない。朝から何も食べていないので空腹である。
 人の気配がほとんど無い、午前の静かな町の中で、唯一賑わっている建物がある。何かと思って近づいてみると、眼科医であった。待合室らしいスペースの窓際に、人々の後頭部が多数並んでいる。

 市塙駅は相対式ホームの二面二線だ。茂木行きの下り列車を待っていると、緑と黄緑の市松模様のような外装のディーゼル車が入線してくる。乗る。料金計算は整理券方式だ。下館方面行きの上り列車とのすれ違いを行い、9時50分、市塙発。

 進行方向左手には水田地帯が拓け、時にその中を走る自動車との併走が楽しめる。良い気分だ。右手は山地となっている。終点に近づくにつれ、左側の盆地も次第に狭まり、谷のようになっていく。

 9時59分、終点茂木着。茂木と書いて「もてぎ」と読む。ホームは一面しかない。途中駅では運転手が整理券と運賃を回収するが、この駅には駅員がいるので、そちらに渡す。
 この駅には転車台がある。真岡鐡道では、休日に観光客向けの蒸気機関車を走らせているが、おそらくはその機関車の方向転換に用いるものであろう。

 駅窓口でスタンプを借りて押す。
 一緒に下車した高齢男性は、やはり駅員に声をかけ、レンタサイクルを借りている。どうやらそういうサービスがあるようだ。

 駅前広場には、迎えの自家用車やタクシーの姿が数台あったが、それぞれの客を乗せると、すぐに居なくなってしまった。今乗ってきた車輛も、折り返しの下館方面行きとなって、やがて発車していく。自分はしばらく駅舎や駅周辺を眺める。駅舎脇には蕎麦屋の看板があるが、営業していない。案内板で見つけた「道の駅もてぎ」に行ってみようと思う。徒歩だ。

いいなと思ったら応援しよう!

青条
詩的散文・物語性の無い散文を創作・公開しています。何か心に残るものがありましたら、サポート頂けると嬉しいです。