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#282 [文学] ボヴァリズムという造語が生まれた19世紀写実主義を代表する傑作。
第41週 第2日(火)文学「ボヴァリー夫人」
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。
今日は文学「ボヴァリー夫人」です。
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本の要約
■ギュスターヴ・フローベール(1821~1880)
フランスで大きな社会的変革が起きていた時代の人物。1789年のフランス革命後、退場していく貴族に変わって、実業家や承認から成る中産階級が勃興してきた。知的エリートとして育てられてきたフローベルは、この新興成金の粗野で物質主義的な価値観を毛嫌いしていた。この嫌悪感は、彼の全作品に見られる。
主人公のエマ・ボヴァリーは、修道女から教育を受けた田舎育ちの娘だ。結婚生活は夢見ていた理想とは違って退屈だった。エマは二度ほかの男と不倫関係を持つが、一つは男に捨てられて終わり、もう一つは腐れ縁となって惰性で続く。エマは次第に無分別になって金遣いが荒くなり、巨額の借金を返すため、ついには体を売ることまで考える。最後は何もかもが空しくなって、毒を飲んで自殺して果てる。
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フローベールの執筆
フローベールは、ひとつひとつの単語を選ぶのに延々と悩むことで有名だった。彼は、常に描写や状況にあった「それしかないピッタリの単語」を見つけなくてはならないと思っていた。
そんなこだわりの末「ボヴァリー夫人」を完成させるのに5年以上の歳月を費やした。
巨匠のこだわりはいつの時代も時間と労力を費やすなぁ。それでこそ名作が生まれるのかもしれないけど。
ボヴァリズム
夢と現実の相剋に悩むヒロインの性癖を表す造語。
この造語は、現実の自分とは違う自分を思い描き、それを実現できない無力感に苛立つことであり、それが嵩じると人生への漠然とした全面的欲求不満に苛まれだす、といった様相の概念。
辞書にも掲載されているらしい。
でも、そういうヒトって結構多そうだよね。特に昨今ではテレビ、youTubeなどでキラキラとした生活を送っているヒトを手軽に見る機会が多くなった。
憧れと現実が混同してしまうのは誰しも持っているかもだけど、それは自分次第なところが大きいんだけよね結局。
一歩踏み出すかどうか、それだけ。(自分に言い聞かす)