#240 [文学] 息苦しさが支配する1950年代アメリカ、詩人は反抗と自由をうたった。
第35週 第2日(火)文学「吠える」
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。
今日は文学「吠える」です。
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本の要約
アレン・ギンズバーグ(1926~1997)の詩「吠える」は、ビート世代の感受性が最も凝縮された作品のひとつである。
ギンズバーグはニュージャージー州北部で生まれ育ち、コロンビア大学に進むと、人生の大半をマンハッタンで過ごした。コロンビア大学在学中、ジャック・ケアルックとウィリアム・S・バローズという、のちに同じくビート世代の主要な作家となる人物と盟友になった。
「吠える」(1956年)は、ギンズバーグが発表した最初の主要な作品で、1950年代アメリカの、表面的には完璧に見える社会状況に衝撃を与えた。この詩は、次のように始まる。
僕は見た。僕の世代の最良の精神が狂気によって破壊され、飢え、苛立ち、裸のまま、強烈な薬を求めて夜明けに黒人街をのろのろとさまよい歩く姿を。
天使の頭をしたヒップスターたちは、古代以来の天とのつながりを求めて、夜という機械にある星々の発電機(ダイナモ)と接続しようと恋い焦がれる。
金もなく、ボロボロの服を着たまま、うつろな目で、深夜になっても眠りもせず、お湯の出ないアパートの超自然的な暗闇の中でタバコをふかし、都会の上を漂いながら、ジャズに耳を傾ける者たち。
高架鉄道の下で脳みそを天に向かってさらし、ムハンマドの天使たちが安アパートの屋上を酔っぱらって歩いていくのを見る者たち。
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強烈なメッセージ性
Amazonのレビューでこの詩の激しさが伝わってくる一文があった。
「吠える」の文章からは常に激しい叫びが溢れ出ていました。
次々に場面が切り替わり、そのどれもが下品に暴力的に美しく胸を殴りつけてきます。
コロナ禍で委縮してしまっている現代人。
今こそ吠えるべき時ではないのかと問う人もいた。
表面的にうまくいっているように見えても周りを見れば苦しい状況は燦然と広がっている世の中で、目をそらして生きていくのか、流されて生きていくのか、今こそ読むべき一冊なのかもしれない。