#88 [科学] 最悪の実験から得る教訓とは
第13週 第4日(木)科学「ミルグラムの服従実験」
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。
今日は科学「ミルグラムの服従実験」です。
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本の要約
1960年代にイェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムは、服従に関する一連の恐ろしい実験を行った。
■実験内容
実験では、被験者は白衣を着た博士から、あなたは「教師役」となり、単語リストを読み上げて、「生徒役」の人物に関連する単語を当てさせるテストを行うようにと支持される。この生徒役は隣の部屋に居て、被験者には姿は見えないが、声は聞こえる。教師役は、生徒役が答えを間違えたら電気ショックを与えるようにと支持され、しかも答えを間違うたびに電圧を上げるよう命じられる。
電気ショックのスイッチは「軽度のショック」と書かれた15ボルト~「危険:猛烈なショック」を超えた450ボルトまで与えることが可能だった。
生徒役は俳優が演じており、180ボルトになると、痛くて我慢できないと大声で大声で叫ぶ。300ボルトになると、実験をやめたいという。330ボルトでは、何も言わずに黙ったままになる。
■実験結果
スタンリー・ミルグラムの予想に反するもので、被験者の65%が最後の450ボルトまで罰を与え、生徒役に心臓病があると聞いても変わらなかった。
■補足と考察
・権威者がいるだけで非人道的な行為を行うように誘導されてしまう。
・被験者と犠牲者の心理的距離が大きければ大きいほど、最後まで命令に従う傾向が強くなる
・教師役が問題を出すだけショックを与えない場合、90%が実験を最後まで続行した。
・ショックを与えるため教師役が生徒役の身体を触れなくてはならない場合、450ボルトまで上げたのはわずか30%だった。
・オーストラリア、ドイツ、ヨルダンなど様々な国でも再現実験が行われたが結果は同様だった。
・男性と女性で服従する割合はまったく同じだった。
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なんですぐやめないのか
人間の危機察知能力と自己防衛本能が合わさった結果なんじゃないかな。
こんなやばい実験を提案する白衣の研究員なんだから、もし反発したら自分がどうなるかわかったものではない。自分も生徒役と同じ目に合わされるのではないか。普通の人ならそうおもうと思う。
人間は所詮自分優先の生き物である。
ただ、この実験では救いな結果もでている。
やめる可能性が高くなるケースもある
生徒役の身体と触れ合うだけで実験を辞める人が格段に上がった。
これは先程の自己防衛本能より人間の共感能力がのほうが上回った証拠だ。
それに一番なるほどと思った結果が、「被験者と犠牲者の心理的距離が大きければ大きいほど、最後まで命令に従う傾向が強くなる」と言うことだ。
それはつまり逆を言えば、お互いの親密度が高ければ高いほど非人道的な選択をしなくなるということ。
ここにすべてが集約されると思う。
SNSでの誹謗中傷が起こす事件もまさにこの実験と同じことだ。自分の顔が見られないことをいいことに、知りもしない相手に罵詈雑言を簡単に言えてしまう人がこの世にはいる。
これを回避するためにはお互いのことをよく知ることにある。よく知るというのはその人がどういうことで泣いたり笑ったり楽しんだりするのか知ることだと思う。そうすることで自ずと信頼って生まれてくるだろうし、そんな人を叩こうと思うことすらなくなると思う。
実験を聞いて思うこと
本書ではこの実験について、悲観的に述べられている。非人道的な実験によってもたらされた抗いにくい人間の本質が浮き彫りになったからだ。
でも逆に私は人間も捨てたもんじゃないなと思えた。
また、これからは匿名性の高いSNSよりも、実名や同じ立場でないと発言できないようなプラットフォームが伸びてくるんじゃないかなぁと少し思った。
それで言ったらまさに「Club house」なんて現代にピッタリのアプリ7日もしれない。