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#276 [視覚芸術] 光学理論を取り入れ、点描技法で描かれた後期印象派の作品
第40週 第3日(水)視覚芸術「グランド・ジャット島」
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。
今日は視覚芸術「グランド・ジャット島」です。
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本の要約
ジョルジュ・スーラ(1859~1891)の「グランド・ジャット島の日曜の午後」(1884~1886)は、後期印象派の中でも特によく知られている作品だ。
「グランド・ジャット島」を描く以前の数年間、スーラは光学理論の研究と絵画制作への応用に取り組んでいた。アメリカの物理学者オグデン・ルードが色彩について書いた論文「色彩の科学的理論(仮)」に影響を受けたスーラは、自然の光と色彩を、絵画を熱く塗り重ねた点や線で表現する科学的なシステムを考案した。
本人の説明によると、スーラはこの絵を、パルテノン神殿の浮き彫りのような古代の素晴らしい傑作と比較できるだけの価値を持つ、現代生活を描いた歴史的記録にするつもりだったという。
現在はシカゴ美術館で見ることができる。
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「グランド・ジャット島の日曜日の午後」
パリ西部のセーヌ川に浮かぶ中州で夏の一日を過ごす人々を描いた作品。
画面には、48人の人物、8つのボート、3匹の犬、そして1匹の猿がいる。
ソーラはこの絵の制作に2年を掛け、習作を多数描いたり、何度も描き直したりして講演の風景に慎重に焦点をあてていった。
原色とその補色の油絵具の細かい点を、色の比率を考えながら観るもの目の中で単一の色相をなすように並べていった。彼は自ら「色光主義」と名付けた点描技法を使って何度も手直しした。
多数の点を並べて一つの絵にしてるのか。膨大な時間と労力がかかった最高傑作と言えるだろう。
「アニエールの水浴」(1883年)
光学理論と絵画の組み合わせを考案したスーラの初期の作品。
絵具で厚く塗り重ねた点や線で表現する技法の礎となった作品。
すでにスーラらしさが全開に表現されていて、同じグランド・ジャット島であることがひと目で伝わってくる。