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#149 [文学] ディストピア文学の魁となった作品

第22週 第2日(火)文学「すばらしい新世界」

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。

今日は文学「すばらしい新世界」です。

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本の要約

ディストピア文学というジャンル(悪夢のような反ユートピア的未来を描くフィクション)は、20世紀文学が新たに生み出した最大の成果の一つだ。

1932年に出版された「すばらしい新世界」は、舞台は未来のイギリスで、そこでは人間の胎児の「製造」が、政府の運営する孵化センターで厳しく管理されている。発育中の胎児は、ひとつひとつが優遇されるか、化学物質による容赦ない処理が行われるかして、将来、社会での地位と役割を決める厳格なカースト制度のなかで適切な場所を占められるよう育てられる。
このシステムは、強固な社会的安定を生み出しているが、そのために個人の人間性と自由意志は犠牲にされている。

「すばらしい新世界」は、化学をテーマとしながらも不朽の文学性を兼ね備えた数少ない小説のひとつである。

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オルダス・ハクスリー(1894~1963)

1908年、14歳のときに医者を志望しイートン校に入学したが、まもなく母親のジュリアが45歳で死去し、妹のロバータもその同じ月に別の事故で死去した。1911年には角膜炎を患い失明状態となり退学した。後に拡大鏡を使えば文字が読める程度には回復し、1913年にオックスフォード大学に入学。
大学卒業後の20代で作家としてデビュー。1932年「すばらしい新世界」を出版。晩年には、神秘主義的な哲学やその様々な分野を縦断する博学を凝縮し小説「島」を書いた。

1963年にハクスリーは亡くなったが、同日に発生したケネディ大統領暗殺事件のため、ハクスリーの死は影が薄くなった。

科学の進歩

「すばらしい新世界」は、以前から英語圏の学校や読書クラブの必読書だったが、近年、生命倫理やクローン技術への関心の高まりから、とりわけ大きく注目されるようになった。

作中に登場する科学技術を実現するには、考えられないほど遠い先のことに思われたが、執筆から100年たたない現在では、その不気味な姿が目の前にまで迫ってきている。


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