FC東京戦マッチレビュー?〜このナミダ・ナゲキ→未来へのステップ〜
ジリジリジリ!!ジリジリジリ!!!
ピピピッ!!ピピピピッ!!!
パララン!!!パララン!!!
朝5時過ぎ、いつものように目覚まし時計、iPhone、そしてiPadが"悪魔の三重奏"を奏でる。
この三重奏は、朝がやってきたことを意味する。
「もう少し!寝ていたい!!」
そんなオーディエンスの"アンコール"など一切聞かない。彼らは、舞台で演奏を続ける。
指揮者の僕は、そのオーディエンスの様子を見て急ぎ演奏を停止する。
これ以上の演奏はクレームに繋がりかねない。そう思っての判断であった。
しかし、この日の"悪魔の三重奏"は、少し毛色の違う音に聞こえた。
彼らの奏でる楽器、彼らの奏でる音、折り重なって出てくる不協和音はいつもと同じである。
しかし、この日はどこか"歓喜"や"喜び"を連想させる、まるで名曲"カノン"のような音色であった。
オーディエンスも、不協和音を聴きながらうっとりしている。
そう。この日は待ちに待ったJリーグの開幕だからである。
いつもの三重奏、勝利への讃美歌のように美しい音色を奏で、オーディエンスへ喜びの瞬間を提供していた。
そんな"フィルハーモニー"で目覚めたこの日。
平日の朝はギリギリまで寝ていたいタイプなのだが、こんな素晴らしい日にはコーヒーなんか淹れたくなる。
ちなみに、缶コーヒーではなく豆を買ってコーヒーを淹れる生活を始めて3年くらいが経つのだが、未だにマグカップ1杯分に対するベストな豆の量が分かっていない。そろそろ知りたい。
さぁ、そんな朝から仕事をこなし、定時になった僕は等々力へと向かう。
今季からシーズンチケットが復活ということで、2シーズンぶりのホームA席。
シーチケがない期間はメインに浮気をしていたが、この席に座ると"フロンターレの試合見にきた"という感じがする。
この試合は試合前とハーフタイムに"光"による演出をするとのことで、来場者にはペンライトが1人1本配られた。
アイドルのライブでは定番アイテムらしいが、僕はペンライトを日常で使わないため、人生初ペンライトであった。
よし、今日はアイドルのライブに行った気分でペンライトを振るぞ!!!
そう意気込み、意気揚々とペンライトを振った。
振った。
とにかく振った。
あれっ。
何で俺のだけ光らないん。
振れば光る仕組みと違うの??
何これなんかちょっと恥ずいわ。
結局、選手入場直前にTwitterで光らせ方を教えて貰った。Twitter最高愛してる。
そんなこんなで、やっと開幕戦がキックオフ。
世界最高ファンタスティックフットボールクラブ 川崎フロンターレのスタメンは
GK ソンリョン
DF 山根/谷口/車屋/ノボリ
MF キング/脇坂/チャナティップ
FW 家長/マルシーニョ/ダミアン
スーパーカップの後半でチャレンジしていた、アンカー大島僚太に再トライする形となった。
形は作れつつも…
前半、攻勢を仕掛けたのは我が軍。
前半2分には大島のパスを受けたマルシーニョが短期突破。
苦い思い出しかないエンリケ・トレヴィザンにイエローカードを出させる。
エンリケ・トレヴィザン、今季の声に出して読みたいイレブン筆頭。
やっぱり、14番がキッカースポットにいるとワクワクする。
前半10分、大島でボールを奪うとノボリ→車屋で前を向く。
車屋は組み立てをちらつかせつつ、切りかけた舵を逆に戻す。
一気に40mほどの縦パスをマルシーニョへ入れる。
マルシーニョの裏へ届いたパスは、一気にペナルティエリアでのシーンを展開させる。
惜しくも決定的なシーンとはならなかったものの、後方からのロビングでチャンスを作ったシーンであった。
このプレーから、しばらく川崎の時間が生まれる。
16分には相手陣地でボールを引っ掛けると、空いたスペースに入り込んだ脇坂ショット。
17分にはチャナティップが1人で20mほど持ち運ぶと、相手陣地に押し込む。
脇坂の横パスを受けたマルシーニョのシュートはミートせず。
18分、またしてもダミアンの横パスを受けたマルシーニョのシュートはミートしきれず。
前半20分までに決定機を作り続けていたものの、この決定機を決められなかったため、東京も盛り返す。
23分の決定機、レアンドロのシュートはソンリョンが右手に当ててゴールを破らせなかったが、よく見るとソンリョンは先に身体を倒している。
このシーンは右サイドで脇坂がロストしたところから始まるミニカウンターのような場面なのだが、すぐに左サイドのノボリが内側に絞っていたことにより、レアンドロの"内側"から寄せに行くことができた。
これにより、レアンドロから「ファー下」という選択肢を消させることに繋がった。
つまり、シュートはニアハイ/ニアロー/ファー上の3つ。
シューターからはかなり角度があったため、飛び出して足を投げ出しながら手を伸ばすことで、全てのコースを消すことが出来る位置取りであった。
そのため、ソンリョンはブレイクアウェイ気味に飛び出して足を投げ出すと、最終的にニアハイを選択した(ど真ん中気味にボールは飛んでいったが)レアンドロのシュートに触れることが出来た。
目立ちはしなかったが、ノボリの判断力とソンリョンの感覚が生んだ好シーンであった。
その後も一進一退の攻防。
前半はどちらも譲らずに終了した。
2021年に得たもの
前半の一進一退の攻防の後半に手繰り寄せたのは東京。
55分に出てきた長友はインナーの色が違ったため「その場で脱げ」と指示をされる。
何ともシュールな光景であった。俺も1万7千人の前で脱げる筋肉が欲しい。
59分、レアンドロのFKに永井が頭で合わせるも判定はオフサイド。
映像で見返してもギリギリである。
この"失点未遂"の後、我が軍は知念と塚川を投入。
しかし、圧をかけていくのは東京。
複数人が絡む厚みのある攻撃を前に、我が軍は受けに回ってしまう。
我が軍がチャレンジした後、2ndボールを回収して二次攻撃に繋げたかったのだが、それが全く上手くいかない。
中盤にはポッカリと広大なスペースが生まれてしまい、2ndボールは全て東京へと渡ってしまう。
我が軍はこの状況を打破するべく、75分に遠野を投入して4-4-2へとフォーメーションを修正する。
78分、早速遠野が魅せる。
シュートまで持ち込めなかった我が軍の雰囲気を一変させる、左足での強烈なシュート。
ど真ん中へ飛んでいってしまったのだが、明らかに等々力のムードはこのシュートで一変した。
そして、このプレーで掴んだCK
遠野の入れたボールは、ニアに飛び込んだダミアンの頭にピンポイント。
美しい弧を描き、ボールはゴールへと吸い込まれた。
まさに、Jの煽り通り。
"決定力から生まれた男"である。
リードした我が軍は、残りの時間をセーフティに終わらせることを試みるが、85分にアクシデントが起こる。
競り合いの際に肩から落ちてしまった車屋がゲーム続行不可能。負傷後退を余儀なくされてしまう。
こうなってしまうと、ピッチ内では「2点目を取りに行く」選手と「1点を守り抜く」選手に二分されがちである。
しかしながら、このチームは崩れなかった。
車屋が倒れている間、鬼木監督の元にノボリが行く。
ノボリは何度も入念に鬼木監督の指示、イメージを確認し、チームに伝達する。
提示されたATは7分。
紺野が放ったシュートはポストに直撃。
ディエゴオリベイラのクロスにはノボリが身体を投げ出して防ぐ。
家長昭博はGKまでプレスをかける。
そして94分、ディエゴオリベイラのシュート。
ここに、山村和也が身体を投げ出して飛び込む。
そして更に、谷口彰悟が足を出す。
90分走り抜いたレアンドロ・ダミアンが相手DFのビルドアップに身体を投げ出して飛び込む。
球際を一切緩めることなく、東京にゴールを破らせない。
そして、3度の笛が鳴る。
試合終了。苦しみながらも、我が軍が勝ち点3を獲得した。
基軸となる選手が世界へと飛び立った2021年。苦しみながらも、その中で勝てた経験がこのゲームに生きた。そんな気がした。
3連覇という、目指すべき値。
今季、我が軍は2019年シーズン以来の3連覇という目標に向かって突き進んでいく。
守田英正、田中碧、三笘薫、旗手怜央、そして中村憲剛。
このチームの根幹を作り上げた2020年のチームから、多くの選手が抜けた。
それでも、シーズンはやってくる。
それでも、闘うことを求められる。
ゲームが終わった瞬間の等々力の雰囲気は、開幕戦の勝利より「やっと終わった…勝った…キツかった…」といったものであった。
まだ、スーパーカップと開幕戦の2試合しか見ていないが、きっと今季はこういう紙一重のゲームが増えていくことが予想される。
2021年、優勝を決めた後のインタビューで旗手怜央が、涙を流していたことに対して三笘、田中碧にいじられたことを話していた。
その中で「お前らが抜けたからキツいねん!」と冗談交じりに話していたが、その"キツい"役割を全て担っていた旗手も遂に海外移籍を果たした。
このゲームで我々がスタジアムで感じた"キツかった"という感想は、昨季旗手が感じさせなかったそれなのであろう。
メンバーが入れ替わる中で、この"キツさ"と付き合い、打ち勝っていくことが求められる。
そんな今季になるのであろう。
何故だろう。不思議と楽しみで仕方がない。
身体を投げ出して、闘って、何とか1つずつゲームを制していく。そんな我が軍の選手たちを観れるのだとしたら、すごくワクワクする。
毎試合、綺麗に確実に勝ってほしい。
それはもちろん、そうである。
でも、それなら僕は水戸黄門を見るし、少しオチが欲しいならドラえもんを見る。
言語化するのが難しいが、ワクワク、ドキドキを味わえるのが1つのチームを応援することに対する最大の成果物なのだと思う。
そこに人生を乗せられる我々の生き様こそ"サポーター"なのだろう。
だからこそ、このキツい、大変なシーズンを迎えるであろう我が軍の今季が楽しみで仕方がない。
そのキツさ、ツラさ、一緒に共有させて欲しい。
何故なら我々は、川崎フロンターレのサポーターだからだ。
何があっても、もう川崎フロンターレしか応援できない身体なのだ。
タイトルになっている歌は、もしかしたら今の小中学生、ひょっとしたら高校生も知らないのかも知れないが、KAT-TUNというアイドルグループのデビュー曲。
何故、このnoteを書いている時に何故か歌詞がふと頭に浮かんだ。
今、苦しむことは絶対無駄じゃない。
今、もがくことはきっと無駄じゃない。
この"ツラさ"は、必ず未来につながる。
共に打ち破ろう。
"リアル"を、見つけに行こう。
なお"KAT-TUNのTはとぅもねばのT"というボケをかませることに気付いたため、今週Real Faceのラップ部分をめっちゃ練習してました。いつか披露します。俺がハスラーKID